ジョージアの奥地には世界最後の秘境などと呼ばれるウシュグリ村があります。
そしてそのウシュグリ村へと続く拠点、メスティアも周辺に様々な観光スポットのある街です。
このウシュグリ村やメスティアがある地域はスヴァネティ地方と呼ばれています。
ハイシーズンは夏です。
ローシーズンは当然冬になります。
冬は人が少ないし、「あの復讐の塔に雪が積もっていてきれいなのでは?」と期待する人もいるでしょう。
※私もその一人でした
が、冬はとてもリスクが高いです。
なぜなら・・・
目次
メスティアは冬に停電が起きる!?
現地のニュースによると、メスティアの一部で電力供給がストップしました。
原因は、この街のある住人が「暗号通貨のマイニング」のために大量の電力を消費したからです。
実はメスティアはジョージア国内でも特に電気代の安いエリアです。
そこに目を付けた暗号通貨採掘者が通常の何倍もの電力を消費しており、電力網が耐えられなくなることが頻発しているようです。
実際、私はメスティアで計1週間宿泊したのですが、数日に1回は停電が発生していました。
メスティアの冬はとても寒く、夜は-10度近くになることもあります。
もし自分の泊まっている部屋の暖房器具が電気で動くものしかなかったら...
観光どころではありませんね。
ちなみに、2021年の年末には頻発する停電に対する小規模なデモが発生し、メスティアへの道が封鎖されました。
※現地ニュースによる報道です。私はこのタイミングではバトゥミにいました
氷河、トレッキングなどが全滅
メスティアにもウシュグリにも氷河があります。
比較的気軽に見れるということで人気のスポットですが、当然ながらそこまで行くのに山道を通ります。
地元民の生活エリアではないため、除雪作業もなく踏み固められてすらいない雪が積もったままの状態です。
山道の一部は地面が斜めになっていますので、場所によっては崖の下に滑落するリスクや氷河から流れてくる川に落ちるリスクがあります。
また、観光客が少ない事で事故が発生した際に助けを呼ぶことが不可能です。
※メスティア・ウシュグリ村は電波が通じますが、氷河への道中で途切れます
トレッキングもほぼ不可能です。
メスティアで最も有名なトレッキングといえばコルルディレイクです。
山の上の大きな湖が目的地ですが、その遥か手前の「丘の上の十字架」まで辿り着けません。
氷河と同様、道中の山道が雪に覆われているためです。
ちなみにどちらも車での移動も不可能です。
どちらも屈強な男性をガイドとして雇うことで途中まで行くことが可能ではあります。
ですが、最終目的地まで行けずに「これ以上は無理だ」と警告され引き返すことになります。
過酷な山道そのものをアトラクションと捉えれば楽しいと言えるかもしれませんが、命を危険に晒してまで楽しむべきものかどうかよく考える必要があります。
ウシュグリのレストランが壊滅的
ウシュグリ村は元々レストランや商店が少ないのですが、冬はそもそも営業していないところが多いです。
もちろんゼロではないですし、食事に関しては(別料金を払えば)ほとんどのゲストハウスで提供してくれます。
ただ、営業しているレストランも外見でわかるような「OPEN」などの看板を掲げていません。
その辺を歩いている村人に「レストラン的なものはない?」と尋ねるか、ウシュグリ村に来る際に利用したマルシュルートカの運転手に聞くしかないでしょう。
ちなみに、運が良ければ村人が「私の家で食べる?」と誘ってくれることがあります。
ウシュグリ村の家庭料理を食べられる大チャンスです。
※お金が必要です。相手が要求しなかったとしても、仕入れにくい食材を提供してくれたのですから心付け(25GEL程度でよいかと思います)を渡すべきだと思います
スヴァネティ地方の交通費爆上がり・便数激減
メスティアに行くにもそこからウシュグリ村に行くにも公的な交通機関がほぼ存在しません。
つまり、定価で移動する手段がほとんどないのです。
マルシュルートカを含む私的な移動手段の主は、利用者が少なければ簡単に値段を吊り上げます。
ジョージア自体の物価は安いので3倍くらいまでなら別にいいと思う人もいるかもしれません。
が、利用者が少なすぎて移動手段の主が商売を諦めることもあり、便数そのものが激減します。
都市部からメスティアへ
たとえば首都トビリシからメスティアへ行くには、小型飛行機・マルシュルートカ・タクシー・レンタカーなどを利用する必要があります。
個人的には小型飛行機がオススメですが、こちらもハイシーズンは毎日跳びますが冬は週2本から3本に減便しています。
さらにはメスティア近辺は雪が降るため、悪天候により欠航になることがとても多いです。
※小型飛行機なので雨どころか風が吹いても飛ぶことができません
マルシュルートカはトビリシからメスティアまで10時間という過酷な旅で、白タク的な白マルシュならば日中も存在します。
ただこの白マルシュ、定時出発ではなく人数が集まってからの出発です。
そのため、午前中に乗り込んだのに出発は夕方なんてことも普通にあります。
さらに言えば、利用者の荷物や運転手の運ぶ野菜などの荷物などで車内はぎゅうぎゅうになります。
はっきりいって地獄です。
しかも運転手の中にはタバコを吸うため常に窓を開けているクレイジーな人もおり、車内はとても寒くなります。
なお、マルシュに関しては夏も決して快適ではありません。
エアコンが故障している車が多く、暑さで乗客が汗をかいたり特殊な臭いをさせたりしています。
値段以前にマルシュルートカで10時間は無謀な気がします。
タクシーは単純に高いです。
片道1万円を超えますし、運転手によっては「帰りの客を確保できていないから」という理由で断ってきたりします。
レンタカーは論外です。
ジョージアは日本とは道路の状況が違います。
崖の横にもガードレールがない道がありますし、ガードレールがない上に一方通行でもないのに1台分の幅しかない場所も存在します。
そして何より、山からの落石に対しての処置が甘い(場所によっては何もしていない)です。
メスティアからウシュグリ
メスティアからウシュグリへ行くには、観光マルシュルートカかタクシーか自転車か徒歩です。
観光マルシュルートカは「一台あたり200GEL」です。
ですので他に利用客が見つからず1人で行くなら200GEL、2人旅なら100GELとなります。
最大で8人は乗れますが、値段の下限は25GELにはならないようです。
2021年12月時点の下限は50GELでした。
タクシーの相場は150GELですので、1人で観光マルシュルートカに乗るのならタクシーを捕まえた方が安いです。
ちなみにメスティアでタクシーと呼んでいるのは、現地民の自家用車のことです。
大抵は日本車の四駆なので悪路でもマルシュルートカと比べると安心です。
ウシュグリ近辺は、冬は雪が溶けきる前に次の積雪があるため、道は常に雪・氷に覆われています。
ですので自転車はほぼ不可能です。
徒歩は途中途中にある村のゲストハウスで泊まって行くルートで4日かかります。
落石があり、終盤は凍った雪の上を歩いて行くということを考えると危険すぎるように感じます。
最後に
ということで、ジョージアの奥地にあるメスティア・ウシュグリは冬に行くのはオススメできません。
もちろん冬には冬の魅力があります。
ただ、もし行くなら夏の何倍も不便になることは覚悟してください。
場所によっては文字通り命の危険があります。
日本でも冬はたくさんの方が雪山で命を落としています。
ウシュグリ村は村全体が標高2000メートルを超えています。
そして村そのものも小規模です。
村を外れて歩き回るのは、ちょっとした山の中を歩くのと同義だと考えましょう。
そして、我々日本人は「外国人」であることを忘れないでください。
ジョージアの税金を使って捜索隊を利用するような馬鹿げたことは絶対に避けなくてはなりません。
無茶なことは絶対にやめましょう。
せめてトレッキングにはガイドとして現地の屈強な男性を雇うべきです。