ジョージアと言えば物価の安さとビザなしで滞在できる期間の長さが有名ですが、一部のお金持ちには「超高金利な定期預金」でも有名です。
そんなジョージアの銀行に新たなルールが加わったことで、日本にいながらジョージアの超高金利を享受するのが難しくなるかもしれません。
「日本にいながら口座が作れる」というサービスを検討している方は対策が練られているか確認してください。
目次
新たなルールとは
ジョージアの三大銀行のひとつ、TBC銀行ではインターネットバンク及びスマホアプリで自分の口座にアクセスする際、定期的にSMSの二段階認証が必要となりました。
他の銀行ではどうなっているかわかりませんが、普通に考えたら同調して同じように二段階認証を導入するでしょう。
ちなみに銀行口座の開設にも現地のSMSが受け取れる電話番号が必須です。
ですが日本人を含む外国人旅行者が利用可能なジョージアの電話番号(SIMカード)の多くは1か月で期限切れになり、追加課金しなくてはその電話番号は使えなくなります。
当然SMSの受信もできません。
ジョージアに滞在しているのなら課金して通信ができるようにしておく価値がありますが、高金利口座のためだけに毎月課金が必要というのはちょっと厄介ですね。
SMSが受け取れなくなる(電話番号が期限切れになる)とどうなるか?
SMSを受け取れない状態であっても、銀行の口座そのものは凍結されたりはしません。
お金が入っていれば当然利息もつきます。
ただ、SMSが受け取れない場合はネットバンク・銀行アプリが利用できないため残高確認等ができません。
ATMなどで残高照会はできますが、アプリのように利用履歴までは出ないので不正利用を見つけにくいです。
当然、日本にいる場合は利用できるATMがないため残高すらわからなくなります。
さらには何か問題が発生した場合に銀行側から連絡する手段がないため、不正利用などが発生しても自分が気付かなければそのままになります。
仮に銀行が倒産する事態に陥ったとしても、SMSが受け取れなければ「ペイオフ分のお金をどの銀行に移行するか」などのやりとりもできず、「気が付いたら跡形もなく預金が消えていた」なんてことにもなりかねません。
ジョージア国内にいるのなら・・・
ジョージア国内であれば、新しい電話番号に登録し直すことはできます。
銀行の窓口に行けばものの数分で終わります。
口座開設時同様、パスポートとSMSを受け取るスマホが必要です。
※電話番号が正しいかの確認のためにSMSが送信され、送られてくる4桁のコードを銀行員に見せる必要があります
電話番号、最安値は?
私の知る限り、最安値はBeeLineの月3GELです。
※BeeLineは頻繁に1GELで1か月使えるサービスをします
日本円にして約100円です。
通信料500MB、50分の通話、50回分のSMS送信がついています。
これは「スマホの月額」としては安価ですが、「銀行口座に付随する支出」としては超高額ですね。
年間にすると100円×12か月で1200円の支出です。
都市伝説?完全無料のSIMカード
ネット上には「SIMカード代の2ラリのみで後は一生涯無料」という情報がありますが、私はそのSIMカードの情報を得られませんでした。
個人的にもそんなものがあるのならぜひ使いたいと思っており今も調査を続けていますが、一時的なサービスか「限定〇人」的な客寄せサービスだったのではないかと疑っています。
ちなみにそのSIMカードはBeeLineという通信会社のものですが、2021年3月からナンバーメンテナンスサービスに0.1GEL取られるようになりました。
この「ナンバーメンテナンスサービス」はSMSが受け取れるサービスではなく、電話番号が使えなくなる(別のSIMカードに移る)のを防ぐもののようです。
つまり「またいつか同じ電話番号を使いたい場合」に利用するサービスです。
これが0.1GELということは上記の「SIMカード代以外無料」と矛盾しますね。
Celfieというキャリア(元BeeLine)が「step bonus」というサービスを始めました。
これは1日5000歩以上歩くと200MBのデータ通信が貰えるサービスです。
これを利用すれば、SIMカード代のみで使い続けることができます。
なおジョージアは現在物価が上がり続けており、SIMカードも値上がりしています。
私が最後に購入した際は3GELでしたが、キャリアによっては5GELになっていたりするようです。
美味しい話には裏がある・・・かも
ネット上には「ジョージアの銀行にお金を預けて不労所得!!」などと煽る記事がたくさんあります。
ジョージアはとても治安のよい国ですが、それは「他の途上国と比べて」というだけであり日本のような先進国と比べるとリスクがたくさんあります。
為替リスクに関しても、隣国のロシアとの関係悪化や国内にある「自治区」の問題などが拗れれば大きく変動する可能性があります。
ちなみに2019年年末時点では1ラリ38.4円でしたが、2021年6月末時点では35.26円となっています。
直近5年間の変動を見ても、円高ラリ安傾向が続いています。
※「それが何なの?だって利息10%でしょ?」と思う方は外貨建ての預金はやめましょう
さらに、上述のような「ジョージアの銀行すごいよ!」という記事では「ペイオフ」に関してほとんど触れられていません。
物価の違いはペイオフで守られる上限額にも表れています。
さらには日本にいながら銀行口座を持つ場合、銀行の倒産にすぐに対応することもできません。
ペイオフで守られた額は「ジョージアの別の銀行に入金される」となっていますが、もしその「別の銀行の口座」が日本で作れないとしたらどうしますか?
そもそも三大銀行の一つが倒産するという事態が発生した際、残りの銀行が安全だと言えるでしょうか。
「日本にいながら開設するサービス会社」がそのような緊急事態で通常通り業務を行えるでしょうか。
利息という美味しい話に釣られてリスクを考えず飛びつくのはやめましょう。
※上記リスクを全て理解した上で口座を開設する分には問題ありません。リスクをよくわからずに大損して「詐欺だ」と騒ぐのだけはやめてくださいね
毎月管理費が取られるようになった
日本ではあまりなじみがない話ですが、ジョージアの銀行口座は毎月管理費を取られるようになりました。
月5GEL~となっており、為替変動を一切考慮せず今後ずっと利率10%が続くものと考えても、600GEL未満しか定期預金がない場合はマイナスになります。
「試しにちょっとやってみようか」というレベルの金額だと高金利の恩恵が得られないことに注意が必要です。
最後に
ジョージアのTBC銀行のネットバンク・銀行アプリの新しいルールを紹介しました。
私は日本にいながらジョージアのSIMでSMSを受け取れるのか、日本の電話番号にSMSを送ってもらえるのかなどはわかりません。
日本から郵送等で口座を作る場合、SIMの二段階認証が必要な銀行なのか、日本のSIMでもSMSが受信できるか、そしてペイオフに関する対応なども確認すべきでしょう。
個人的には、そもそも銀行と自分の間に第三者が介在していることがすでに大きなリスクだと思うので、「日本にいながら郵送でジョージアの銀行口座を」というサービスには不安を感じます。
国際的なサービスは「海外側で問題が起きている」となれば捜査も滞りやすくなり、泣き寝入りするリスクも格段に上がるという点も忘れてはならないでしょう。
それらのリスクをきちんと把握した上で「自分の判断で」口座を作るか決めてください。
ちなみにもし私にアドバイスを求めるのであれば、私の返事は「ジョージアに滞在しないのならやめたほうがいいのでは」です。