コーカサス地方のジョージア(元グルジア)。
トルコの東にある小国です。
シュクメルリが流行ったことでも少し知名度が上がりましたね。
この国は2019年までは「外こもりの第二の聖地」として一部の人に人気でした。
その理由は「物価が安く、ノービザで1年滞在できたから」です。
2020年以降もこのビザルールは今のところ変更はないようで、「世界一外こもりに優しい国」の座はしばらく続きそうです。
ただ、物価とビザルールだけは日本でも盛んに喧伝されていますが、「嫌な事」がほとんど紹介されていませんよね。
今回はジョージアに住む私が嫌だと思っていることの一つ、「車の文化」について紹介します。
物価の安さに釣られてやってきて心をすり減らす人が一人でも減ったらうれしいです。
前提の話
前提として、私は「ジョージアは車のマナーが悪い」だとか「車の運転が下手」だとか言いたいわけではありません。
この国にはこの国のルールがあり、そして明文化されていないマナーもあります。
私が言いたいのは、ルールやマナーが日本と異なることで意思の疎通が取り難く不便だということです。
決して「日本こそが至高」だとか「日本から来た俺様に合わせろ」だとか「俺の邪魔をするな」だとか言っているわけではありません。
私はこの国に住む以上、この国のルールに従いますし、この国の人たちの考え方に合わせられるところは合わせたいと思っています。
ただ、ずっと日本で育ったために日本の常識を拭いきれず不便に感じているというだけです。
そしてもう一つ、私はジョージアが嫌いなわけではありません。
ジョージアのネガティブキャンペーンをしたいわけではありません。
むしろジョージアが大好きで、もっと日本人にも知ってもらえたらいいと思ってはいます。
無条件で全てを絶賛するようなカルト宗〇のようなことはしたくないですし、逆に些細な事を「それが全てだ」というように針小棒大に喧伝するアンチのようなこともしたくありません。
いいところはいい、悪いところは悪いと伝えたいだけです。
距離感の違い
日本では歩行者との距離を2メートルくらい取る車が多いですよね。
狭い道で距離が開けられない場合は徐行して走るのが普通です。
※交通ルールの厳格な定義ではなく、現実の運転者たちの話です
ジョージアでは、歩行者との距離を1メートルも開けないで全力疾走する車が多いです。
狭い道でもスピードを落とさない車もいます。
おそらく、ジョージアではそういった運転をしても歩行者を巻き込んだ経験がある人が少ないのでしょう。
そのため、「大丈夫だと思って運転している」ので相手が恐怖を感じていることそのものに気付いていないようです。
歩行者が絶対的強者ではない
日本では歩きスマホをしていても、自動車学校でのシミュレーターのようにありえないタイミングで車道に飛び出してきても、歩行者側が赤信号だったとしても、かなりの確率で歩行者より撥ねた車のほうに過失が付きますよね。
※正確には上条件では0:10で車が悪いことには滅多になりません
ジョージアにはそういうのはないようです。
歩行者対歩行者でも、狭い道から飛び出してきた人が大通りを歩いている人を遮るルートで歩くのは日常茶飯事ですが、それが「車対歩行者」でもときどき発生します。
交差点で、青信号で歩行者が渡っていたとしてもお構いなしに左折・右折してくる車は多いです。
そして歩道を歩いても、平気で目の前の歩道に乗り上げて来ます。
日本人にとっては、「ジョージアの交通法規がどうなっているか」はさほど問題ではありません。
問題は「車が突っ込んで来たら歩行者は超高確率で大怪我をする」という点です。
保険に入っていたとしても、海外ではできるだけ病院に行きたくないですよね。
治る怪我なら100歩譲って許せるとしても、猛スピードで曲がってくる車の車輪の下になったら後遺症のある大怪我をしたり、最悪の場合は命を失うことだってあり得ます。
歩行者のことを見ていないように見える運転手が多いというのは、ジョージアの大きな不安要素です。
交差点で止まったり止まらなかったりする
ジョージアでは、日本よりも「信号のない交差点で歩行者に道を譲る人」が多いです。
ですが、問題が2つあります。
1つは、「完全に止まらずジリジリ近づいてくる車が多い」こと。
完全に止まってくれないといつまた動き出すかわからないという人は多いでしょう。
完全に止まるのを待っていると、運転手が業を煮やして急発進します。
ちなみにこの問題は「車の動き」ではなく「運転者の顔」を見れば解決します。
ちょろちょろと動いていても、運転手は少しオーバーなくらいに手を動かして譲る意思を見せてくれています。
2つ目は、上記で伝えたように「歩行者を気にしない運転手もいる」ということです。
2車線の道路は手前の車が譲ってくれてもその先の車がブレーキをかけず全力疾走を続けることが多いです。
反対車線の車も同様です。
ジョージアでは「とりあえず片側の車線を進んで、中央で反対車線の車が止まるのを待つ」という横断をする人が多いです。
日本の「全車線で車が止まるまで動かない」というのはジョージア人にとっては「渡る気があるのかわからない」と感じるようです。
信号が信じられない
日本では基本的には「信号が絶対」ですよね。
特に昼間、他に人がいる場面で赤信号で動き出す車はほとんどいないでしょう。
しかしジョージアは違います。
赤信号でも飛び出してくる車・歩行者がいます。
しかも、青信号側の車・歩行者を遮るルートを平気な顔で突っ込んできたりします。
また、青信号を待っているように見える車でも待ちきれずに発進してきたりします。
そして上述の通り、この国では歩行者は絶対的強者ではありません。
私にはこのあたりの感覚が未だに理解できず、青信号でも左右を念入りに確認して小走りで渡ったりしています。
ただし差別ではない
日本人旅行者の中には、この手の「車に危険な思いをさせられた」ことに対し、「差別された」と言い出す人がいます。
※実際に私に報告(?)してきた人もいます
違います。
差別ではないです。
運転手が「お、日本人おるやん、轢いたろ」と考えていたのなら差別でいいでしょう。
でもジョージアのほとんどの運転手は歩行者の人種で態度を変えていません。
つまり、現地人(ジョージア人)相手にもスレスレを走ったり突っ込んで行ったりしているんです。
運転が怖いのは事実ですが、「日本人・アジア人に嫌がらせをした」ということではありません。
※もちろん、「外国人が我が物顔で俺の国を歩くな」と考える人もゼロではないとは思います。ただ、その数はとても少ないです
最後に
私はジョージアが大好きで、この国に一生住んでいたいと思っています。
ですが、未だに車の文化に慣れることができません。
私はもともと引きこもりがちで、さらに新型コロナウイルス発生以降は1週間に1度、最寄りのスーパーで買い出しをする以外にほとんど外出しない日々を過ごしてきました。
それでも車文化にストレスを感じます。
日本から来たばかりのアクティブに外出する人はそれ以上の苦しみを感じる事でしょう。
移住・海外ノマド・外こもりとしてジョージアに来るのであれば、車文化が許容できるレベルなのかなどを確認するために、短期でお試し移住をすべきです。
いきなり日本の生活を全て捨ててジョージアに来た場合、肌に合わなかったらとんでもないことになります。