ジョージア。
ほとんどの日本人が訪れたことのない旧ソ連圏の小国です。
2020年にはシュクメルリが話題になったことでジョージアという国名自体は多少知られるようになりましたが、あの感染症の大流行中だったこともあり、実際にジョージアに来ることができている人は極めて少数です。
実はジョージアはシュクメルリ以前には「物価が安い外こもりの聖地」として話題になっていました。
実際、タワマンが3万円台で借りれたり、野菜や果物がkgあたり100円前後という不安になるほど安かったりするため生活費は10万円以下にすることが可能です。
いんふるえんさぁたちが楽園のように語るジョージアですが、メリットだけではありません。
外国なので文化が大きく違います。
そして何より、日本語が通じません。
そのため、日本からほとんど出たことがない人がいきなり移住をすると想像以上に辛い思いをするかもしれません。
そこで、実際にジョージアに住んでいる私が「初めてのジョージア移住」を快適にしたい人のための言語関連の情報をお届けします。
もちろん「これができなければ不可能」という絶対のルールではありませんので興味がないのならスルーしてくださって大丈夫です。
私は考えるきっかけになったらいいと思ってこの手の記事を書いています。
「知っているけど自分の考えとあわないのでやらない」は構いません。
でも「知らないからやらない」というのはもったいないです。
言語
海外移住で最も不安になる要素が「何語で生活するのか」ですよね。
ジョージアの母国語はジョージア語で、看板からスーパーの値札まで基本的にはジョージア語がメインです。
ジョージア人のほとんどはジョージア語を喋ります。
その次に通じるのはロシア語です。
旧ソ連圏だったこともあり、30代以上のジョージア人はほとんどがロシア語を喋ることができます。
看板などにはロシア語表記はあまりないですが、食料品のパッケージなどにはジョージア語とロシア語が併記されているものも多いです。
※ロシアやウクライナなどからの輸入品も多いです
ただ、すでにソ連が崩壊してかなりの年月が過ぎておりさらにはロシアの経済が低迷していることもあって、若い人はロシア語より英語を好みます。
実際、ある程度裕福な人たちは英語の学校に通うなどしてかなり流暢に喋れるようになっています。
また、親の世代にも「これからはロシア語ではなく英語だ」と考えている人が多い事から、10代の子どももロシア語はわからないけど英語ならわかるという子たちが増えています。
楽しくジョージア生活をするのなら
ということで、ジョージアは旧ソ連国ですが英語が通じるケースは多いです。
大衆食堂は別として、普通のそこそこ安いレストランでも英語を話せるスタッフがいることが多いです。
ただし、「楽しくジョージア生活をする」という観点で考えるのなら、英語のみでなんとかしようと考えないほうがいいでしょう。
オススメは「カタコトジョージア語」または「カタコトロシア語」です。
どの国でもそうなのですが、英語が通じる場合であっても現地語を喋った方が反応がいいです。
自分が逆の立場だったら、外国人からカタコトで「アリガット」とか「コンニッチワ」とか言われた方がうれしいですよね。
ジョージア人たちは、ジョージア語の習得が難しく外国人が使いこなせないことを理解しています。
だからこそ「学んでいる雰囲気」を出すだけで十分意味があるんです。
もちろんジョージア語やロシア語を口にすれば、相手は「お、喋れるのか?」と言われ早口でまくしたてられるでしょう。
その時には焦らずに「勉強しているんだけど難しくて」と返せばいいだけです。
自分の母国語を「頑張ってるんだけど難しいよ」と言われて嫌な気持ちになる人はいません。
最低限「やあ(挨拶)」「ありがとう」「またね」くらいを覚えればジョージアでの現地の人たちとのコミュニケーションが円滑になるでしょう。
なお、「勉強中だ」などと返す際には絶対に「不安な顔」を作らないでください。
ジョージアの一部の人は日本人の「不安な顔」「申し訳なさそうな顔」を「不愉快そうな顔」と受け取ります。
笑顔のまま「自分なりに頑張ってるんすよー」くらいのノリで喋りましょう。
どの言語をマスターすべき?
かといってジョージア語をペラペラに話せるまで学ぶのはメリットが少ないです。
多くの人にとって優先度は「英語→ロシア語→ジョージア語」となるでしょう。
もしあなたがジョージアで一生を終える予定ならジョージア語を学ぶ価値がありますが、そうでないのならジョージア国外でほぼ使えない言語を学ぶのは優先度が低いです。
ジョージア以外の旧ソ連圏に訪れる予定があるのであればロシア語を学ぶのはオススメできます。
ただ、こちらのデメリットは「日本人にとってトップクラスに難しい言語である」という点です。
現地に住んでいれば努力しなくても話せるようになる?
私はロシア語を2年近く勉強していますが、私自身の中学2年生終了時の頃の英語力に辿り着けていません。
※中学2年生の1学期2学期の成績は5段階評価で2でした
外国語は話せるのなら当然その方がいいに決まっていますが、習得に莫大な時間と労力を必要とします。
「海外に住めば普通に暮らしているだけで現地語を話せるようになる」というのは幻想です。
スマホもネットもなかった時代なら現地の言葉を使えないと何もできなかったかもしれません。
でも今はネットに繋げばだいたいのことはわかりますし、スマホの翻訳アプリを使えば日本語だけでもなんとかなってしまいます。
※ジョージアは月35円(1Gel)で3GBのデータ通信を使えるSIMカードが存在します
さらに言えば、ジョージアは物価が安いので現地で働かないケースが多く、レストランはメニューを指さすだけで料理が運ばれてきますし、スーパーなどの買い物も無言でレジに商品を持っていけば買えてしまいます。
つまり、日々の暮らしで現地の言葉を使うタイミングはほとんどないんです。
意図して喋ろうと思えば喋れますし、練習のつもりで日常会話を試みれば話に付き合ってくれる人はたくさんいます。
日本でジョージア語やロシア語を学ぶよりは環境が整っていますが、それでも「努力せずに普通に暮らしているだけ」では喋れるようになりません。
耳からはジョージア語やロシア語が入ってきますが、単語も文法も知らないままで耳にしても雑音と区別すらつかないでしょう。
ある程度の基礎語学力は努力して手に入れる必要があります。
日本人コミュニティ
ジョージアにも小さいながら日本人が集まるコミュニティが存在するようです。
「するようです」と書いているのは、私自身がそこに足を踏み入れたことがないからです。
私がコミュ障だからというのが最大の理由ですが、もう一つの理由に「海外まで来て日本人同士でつるむ意味がわからない」というのもあります。
たしかに日本語が通じる相手がいるのは心強いです。
問題が起きた際に助けを求めるのはアリでしょう。
※もちろん相談・解決の対価は払うべきだと思います
ただ、依存するのは絶対に間違っています。
そんな人がいるとは思い難いですが、「初海外でジョージア移住を決めて日本人コミュニティの運営する宿に住み料理もそこで提供してもらう」というおんぶにだっこな人がいるそうです。
※また聞きの話なので本当にそんな人がいるのかはわかりません
コミュニティに依存した場合、利用料が上がればその分生活費がかかりますし、コミュニティからの依頼・命令を拒否するのも難しくなるでしょう。
もちろん「そういうのが楽しい」と言う人に「いや、お前は間違っている」と言っているわけではありません。
最後に
ジョージアに移住する場合、ジョージア語やロシア語は必須ではありません。
意外に英語が通じることが多いですし、今の時代スマホがあれば翻訳アプリで大半の問題は解決します。
もちろん現地語を使えれば現地の人たちの友好度が爆上がりするので「使えるのなら使った方がいい」です。
ただ、ジョージア語もロシア語も習得難度とメリットのつり合いが取れるか怪しい言語です。
自分にとってメリットがあるのなら学びましょう。
ですがジョージアは「それがなければ耐えられない」というほどではありません。
個人的には挨拶くらいは覚えて欲しいとは思います。
ジョージアにどのくらい住むつもりなのか、ロシア語圏にも行く可能性があるのかなどを考えて、辛くならない程度に学びましょう。
ちなみに私はウクライナを「第二の祖国」と呼ぶほど大好きなのでロシア語学習に強烈なモチベーションを持っています。
にもかかわらず、時々勉強が辛すぎて不貞寝したりします。
ロシア語はそのくらい難しいです。