2020年からのアレにより「海外で日本人差別が頻発している」というニュースを度々目にするようになりました。
ですが、実際には海外に在住中の私はほとんど差別を受けていませんし、海外にいた友人知人のほとんどが「よくしてくれた人が多かった」と語っています。
その一方で、現地人に差別を受けるよりもっと口汚く罵ってくる人たちもいます。
ニュースという名のワイドショーではそのことが触れられていませんので、実際に海外に住んでいる私から情報を発信させていただきます。
海外での日本人差別
yahooニュースなどで、月に数回は「海外で日本人が被害を受けました」という記事が登場します。
「アシッドアタック」や「放火」など命の危険を感じるような被害もあるため、「海外は差別がすごい」と感じてしまいます。
ですが、実際に2020年に海外にいた人のほとんどはそんな危険な目に遭っていません。
極まれに差別を受けた人がTwitterなどでその被害を(ちょっと盛って)ツイートし、それが拡散される程度です。
外国人もまともな人はまとも
「海外」「外国人」というのは、日本から出たことのない人にとっては未知の存在です。
そのため「知らないことによる不安と恐怖」が拡大されています。
ですが、先進国だろうと途上国だろうと、そこに住んでいる人は多種多様な考え方をしており、まともな人はまともですし、クレイジーな人はクレイジーです。
ネットの情報やニュースは鵜呑みにできない
「海外は差別がある」という記事は、「日本人から需要がある記事」です。
一方、「海外は今も安全で、日本人に友好的」と言う記事を望んでいる人は少ないです。
基本的にニュースもブログの記事も閲覧者が多い方がいいため、「需要がある記事」ばかりになります。
結果として、「海外に差別は少ない」という記事より、針小棒大に語った「海外で受けた差別」という記事のほうが多くなります。
本当にあった話なのか現地で確かめることができないニュースに惑わされすぎないようにしましょう。
現地人より口汚い人たち
はっきり言って、現地人より「ネット上の日本人」のほうが何倍もクレイジーです。
相手の事情も知らない見ず知らずの人が「どうせこうに決まってる」という一方的な勘違いで暴言を吐いてきます。
私は自分が住んでいるジョージアという国に差別が少ないという記事をいくつか書いていますが、頻繁に「そんなはずはない。旧ソ連圏の国は差別だらけだ」というお叱りのメールをいただきます。
ただ、そのほとんどは「ネットにそう書いてあった」という根拠の薄い話です。
現地で実際に生活している私に、現地に行ったこともない人がお説教することに違和感があります。
実際に旅行した方からの報告でも、現地語もロシア語も理解できない状態であれば相手の意図が通じないはずです。
現地では「非常事態宣言」が発令され、レストランが営業禁止になるなど旅行者にはとても不便な日々が続きました。
コンビニやスーパーすら店内に入れる客の人数に制限がかかっていた時期もあります。
ただ、「いきなり怖い顔で何か言われ追い出された」というケースも差別ではなくジョージア国内のルールに従ったものです。
これは「入店拒否」ではありません。
日本人だから、アジア人だから買い物をさせてもらえなかったわけではありません。
現地の言葉を理解せずに現地のルールを破った人が現地語で怒られたことを「差別」と表現するのなら、海外は「差別だらけ」であっていると思います。
ただ、現地の言葉を理解し現地のルールに則って行動している現地在住の日本人の大半は、そういう人のことを「何言ってんだ?」と思っています。
海外という場所はない
「海外は差別が多い」「海外は危険」という文章における「海外」とはどこのことでしょうか。
「海外」という地名は存在しません。
「海外」というのは日本以外の全ての国と地域の総称です。
国によって、さらにはその国の中の地域によって、そしてその地域の中の人によって考え方は違います。
だから「海外は○○」という表現はそもそも成立しません。
日本と比べると海外は広いです。
地域差があります。
人口比で考えても日本の何十倍もの人がいます。
当然、たくさん人がいればたくさんの考え方があり、(日本人のモノサシではかった場合の)まともな人もいればおかしな人もおいます。
地域差があり大勢の人がいるのですから、いい出来事も悪い出来事もたくさん発生します。
最後に
ということで「海外での日本人差別」は日本人の多くが思っているほどの頻度では起こっていません。
海外のいたるところで日本人・アジア人が毛嫌いされているわけではありませんし、命の危険にさらされるほどの差別はとてもレアです。
そして、「言葉のナイフ」の切っ先が最も鋭いのはネット上の日本人です。
物理的にダメージがなければ何を言ってもいいと思い込んでいる人は外国だけでなく日本にもたくさんいます。
なお、私は「だから日本人は外国人よりダメ」と主張したいわけではありません。
「顔が見えない相手にもちゃんと言葉を選ぼうね」とは思いますが、日本人と外国人を比較してどちらが優れているか議論したいわけではありません。
また、「海外の日本人差別は多くない」というのは「ゼロ」とは違います。
私自身も「一度も差別を受けたことがない」とは言っていません。
私が言いたいのは「海外は差別だらけではない」ということです。
そして何より、苦しい状況にもかかわらず外国人(日本人)に配慮してくれる人はどの国にもたくさんいます。
「海外で差別が頻発している」というニュースでは、その配慮してくれている人たちのことが一切語られていません。
アシッドアタックでは救急車を呼んでくれた人や治療をしてくれた人がいたはずです。
放火でも通報してくれた人や消火してくれた人がいたはずです。
おそらくその人たちは現地の人でしょう。
私は、差別をしてきた人よりもその周囲の真っ当な人たちが目に入ります。
だから私は「海外にはいい人がたくさんいる」という気持ちが強いです。