ジョージアの秘境として一部で有名なウシュグリ村。
異世界モノのアニメくらいでしか見たことのないような牧歌的な村です。
と、いいつつも。
すでにヨーロッパなどでは知れ渡っており、ハイシーズンである夏は観光客でごった返します。
当然「では冬はどうだろう?」という疑問が湧きますよね。
後悔されているウシュグリ村の写真のほとんどは夏のもの。
雪が積もったウシュグリ村はさぞかし美しかろう...
そう考える人は多いはずです。
それは事実です。
雪が舞うウシュグリ村は最高です。
ですが、問題点が山のようにあります。
今回紹介する問題点を全てものともしないツワモノだけが冬のウシュグリ村へ行ってください。
また、当記事で記載している値段は2021年12月現在のものであり、物価や為替相場によって変動します。
「ブログにこの値段と書いてあった!」と値切ろうとしたり、「このブログは嘘つきだ!」と怒ったりしないでください。
値段はあくまでざっくりとした相場として考えてください。
目次
はじめに
当記事は、人によってはウシュグリ村をディスっているように感じるかもしれません。
また、私個人の意見として「冬にウシュグリ村へ行くのはやめたほうがいい」とも思っています。
ですが、それはあくまで下記のような危険があるからであり、一部の問題点は命の危険性すらあるためです。
実際に冬に訪れたウシュグリ村は美しい村でしたし、ハイシーズンでないためか村人たちも(思ったほど)観光マネーを欲しがらず、こちらの挨拶にほとんどの人が笑顔で返事をしてくれました。
※「思ったほど」「ほとんど」という単語を読み飛ばさないでくださいね。極めて少数ではありますがエグいほどこちらのお金を狙ってくる人もいますし、一瞥しただけで無視する村人もいます
危険ポイント1・移動手段が少ない
そもそも、メスティアからウシュグリへの移動手段がかなり限られます。
ハイシーズン(5月から10月頃)なら乗り合い観光マルシュルートカが何本か出ますので、メスティアのバスステーションをうろうろすれば客引きが勝手に説明を始めてくれます。
※基本的に同じ値段です。1台あたり200GELで人数で割るシステムになっています
冬はローシーズンで観光客が集まらず一日待っても出発しないことがザラです。
マルシュルートカの運転手は日帰り(マルシュルートカそのものがデイトリップを想定している)なので12時までに客が来なければ「今いる客で200GELをワリカン」で行くことになります。
もしあなた以外に客がいなければ200GELで出発することになります。
ちなみに宿のオーナーなどに協力してもらえば、四駆の車を持った知人が150GELから200GELで乗せて行ってくれることがあります。
※いわゆる個人タクシー
自分たちだけの旅行ならばたとえ一人旅でも個人タクシーのほうが安いということを覚えておきましょう。
もしウシュグリに泊まるなら、帰りもまた別料金なので注意してください。
しかも片道でも半額になりません。
日帰りの場合、12時過ぎにウシュグリに到着し15時から16時あたりにメスティアへ出発します。
冬は村の外へのトレッキングが難しいため3時間もあれば十分でしょう。
村を歩き回り、北のラマリア教会と中央南部のクイーンタマラの塔を見ても多分時間が余ります。
私は行きを観光マルシュルートカ(三菱デリカ)、帰りはメスティアで知り合った陽気なおじさんの個人タクシー(三菱パジェロ)を利用しました。
行きは別で観光に来ていた中国人の女の子とのシェアで100GEL、帰りはチリからやってきた女の子とのシェアで100GELでした。
※帰りは見栄を張って多めに払いました。本来は75GELです
危険ポイント2・道中が雪に覆われる+頻繁に落石がある
まず、メスティアからウシュグリまでの道が雪で覆われます。
一部の道は除雪車によって快適になりますが、特にウシュグリ近辺の10km近くが大変なことになっています。
パジェロならまだしも、デリカは明らかに後輪が何度も横滑りしていました。
そして日本と違い崖すれすれの道にも滅多にガードレールがありません。
メスティアを出発して10分も経たないうちに軽トラがひっくり返っていました。
※スリップ痕を見ればわかる通り、雪が痕を消しきらない数分前の出来事です
さらにいくつもの場所で落石の後があり、自分の乗る車に落ちてこない保証はありません。
※落石は冬だけのリスクではありません
私がウシュグリについてからメスティアに帰るまでのわずか数日の間に大きな崩落があり、その日はウシュグリから下界(?)への唯一の道が通行止めになりました。
現実で「陸の孤島」に閉じ込められる日が来るとは思いませんでした。
※もともと数日滞在予定だったため崩落の話を聞いたのは帰りの車の中でした。
なお、雪が降っても人さえ集まれば車は出ます。
ウシュグリで泊まったゲストハウスのオーナーもさんさんと降り積もる雪を見ながら「これくらいならたいしたことないからメスティアに行けるわ」と言っていました。
ドライバーは頻繁に行き来しているはずですし、大丈夫なのでしょう。
特にパジェロは雪の坂も(かなり速度は落とすものの)滑る気配もなくガンガン登り降りしていました。
冬にどうしてもウシュグリ村に行きたいのならパジェロの所有者を探すといいかもしれません。
危険ポイント3・食事の確保が困難
レストラン、カフェ、商店がありません。
観光地価格とか言うレベルではなく、単純に冬は営業していません。
外から南京錠がかけられているため、入る前にやっていないことがわかります。
お菓子類やアルコール・エナドリなどの飲料はメスティアで買っておく必要があるでしょう。
ちなみにゲストハウスは食事を用意してくれるところがあります。
基本的には別料金で1回20GELが多いようでした。
※当然ながら全てのゲストハウスで(泊まりもしないのに)値段を調べることはできないので、もっと高い所・もっと安いところはあると思います。
Guesthouse Bubaはカフェとの兼業で、一食フルコース(クブダリorハチャプリ、スープ、野菜サラダ、肉なしオジャクリ、ビーツの漬物など)を25GELで提供してくれました。
ゲストハウスとしてはトイレ・バスが共用で電気ヒーター付の個室が20GELとのことです。
※後述しますが電気ヒーターのみで夜を過ごすのはリスキーなので泊まるのはオススメしません
危険ポイント4・氷河トレッキング不可
村の中はまだしも、氷河トレッキングは危険すぎて不可能です。
雪が積もっていれば、高台にあるラマリア教会に行くだけでも何度か転ぶはず。
逆に雪が降っていない晴れた日は雪が溶けたことで道が小川状態になり、足がずぶぬれになります。
「濡れるだけならいいか」と思うかもしれませんが、そこは標高2000メートル超えの山の中。
足が凍えますし、何より滑ります。
氷河は村の北端にあるラマリア教会から片道10km近くあります。
足の指がなくなってもいいという覚悟がないのなら諦めましょう。
ゲストハウスのオーナーもメスティアからの運転手も口をそろえて「辞めとけ」と言うので当然馬も借りれないし四駆の車も借りれません。
というか、氷河トレッキングの入り口時点で動物の足跡すらない状態です。
さらに言えば、道が雪で埋まって見えません。
Masp.meでルートがわかるとしても、どこが川かわからないし崖の横の道もどれが滑らない足場なのかがわかりません。
しかも氷河トレッキングは序盤はイージー、終盤の数kmで難易度が上がります。
難易度が上がる場所は岩がゴロゴロしている場所のことです。
その岩が雪で見えません。
絶対に無理です。
危険ポイント5・夜が寒い
晴れていようが雪が降っていようが、夜は極端に寒くなります。
-10度以下なんて日もザラです。
「宿から出なければいいでしょ?」なんて思っている方は地獄を見ることになるでしょう。
特に値段で宿を決めている私のような人は特に。
booking.comなどでゲストハウスを予約する際は暖房機器の種類を確認してください。
電気ヒーターでは凌げない可能性が高いです。
また、エアコンも古いものが多いのでフルパワーでもぬるい風がそよそよするだけということもあります。
どうしてもそこに泊まりたいという事情がない限り、部屋を見ずにbooking.comなどで事前予約をするのはやめるべきです。
冬はローシーズンなので営業していないゲストハウスも多いですが、それでもいくつかは営業している宿があります。
※キャリーケースはメスティアの宿に置いていってください。雪のウシュグリ村ではキャリーケースは転がりません
最後に
ということで、冬のウシュグリの注意点でした。
雪に埋もれたウシュグリ村は夏とは一味違う魅力があります。
しかし、今回紹介した数々の問題点を全て跳ね除けられるほどの魅力かと聞かれるとYESと即答できません。
ウシュグリ村には何を目的に行きますか?
氷河は見れません。
復讐の塔はメスティアでも見れます。
「どうしても冬のウシュグリ村に行きたい!」という強い気持ちがないのなら、夏に再度トライしたほうがいいでしょう。
日本から来るのが大変だからという理由で強行して辛い思い出を作るのだけは避けてくださいね。