海外旅行をした人がよく「差別された」と不満を口にすることがあります。
具体的に聞くと「ニーハオって言われた」など、中国人に間違われたことに腹を立てているということが多いです。
他にも、「通りすがりに鼻で笑われた」「英語が通じず笑われた」「無視された」「サービスが雑だった」などなど。
それ、本当に差別ですか?
目次
海外での日本人差別Ⅰ「ニーハオ」
欧米人にとって、アジア人の見わけがつかないのは仕方がありません。
「ニーハオ」と声を掛けられるのは、アジア系の人種で最も話者が多く通じる確率が高いからです。
ところで、あなたが日本で外国人に声をかけるならなんと声をかけますか?
「ハロー」ではないですか?
フランス人だろうとドイツ人だろうとロシア人だろうと英語で話しかけますよね?
さらに言えば、旅行先が東南アジアだろうとヨーロッパだろうと英語で話しかけていますよね?
それは多くの人に通じる可能性があるからですよね?
「区別がつかないアジア人にニーハオと声をかけること」がおかしいのであれば、「明らかに英語圏の人間ではないのがわかっている状況で英語を使っている」のもおかしい気がしませんか。
悪意のあるニーハオ?
上記の話をすると、「いや、あのニーハオには悪意があった「と「悪意のニーハオ」説をとなえる人が出てきます。
私は「悪意に満ちたニーハオ」を受けたことがほとんどありませんが、なぜか短期旅行者はこの「悪意のニーハオ」に不満を口にすることが多いです。
たとえば「ニーハオ」の後に釣り目のポーズや中指を立てるポーズをしてくれれば「お、やってくれたな」と思えますが、ニヤニヤ笑い程度では判別がつきません。
ニヤニヤ笑いがバカにしたものなのか、友好的なものなのか判別つきますか?
私は外国人の細かい表情を区別できません。
国によって笑顔の意味も違います。
一部の国では「日本の感覚では」粘着質に見える笑い方をする人がいます。
でも本人にとってはそれが友好の証だったりするわけです。
※私はそのことを理解していなかった学生時代にこの問題で一人友人を失いました
ニヤニヤ笑いの「(自称)悪意のニーハオ」を受けた人たちは「日本人にとって侮蔑的に感じる笑み」が現地で本当に侮蔑的なのか、理解した上で判別できているのでしょうか。
もちろん、本当にバカにしている人が全くいないわけではありません。
ですがほとんどは思い込みのような気がします。
ニーハオと言ってきた相手と仲良くなる方法
簡単です。
「ハロー(できれば現地の言語で)。私は中国人じゃないよ。日本から来たんだ」
と返すだけです。
当然ですが、「笑顔で」です。
日本人は見知らぬ外国人に喋る時、仏頂面になりがちです。
この顔は日本人同士なら「謙虚で申し訳なさそうな下手に出ている顔」と思ってもらえるかもしれません。
ですがが外国ではそう捉えられないケースもあります。
仏頂面でいきなり「俺は中国人じゃない、日本人だ!」と言い返された相手はどう感じるでしょうか。
「よくわからないけどなんか怒り出した。やべーやつかもしれないから逃げよう」と感じてもおかしくはないですよね。
多くの場合、知らない相手に挨拶をするのは別に差別意識があって嘲笑したいからではありません。
珍しい旅行客に話しかけてみただけなんです。
こちらから反応を返せば、会話が産まれて仲良くなれるケースも多いです。
本当に嘲笑してきた人なら「日本人だよ」と言われても「だから何?」となるでしょう。
ただこちらとしても嘲笑してくるような人と仲良くなりたくはないですよね。
だからそういう人から「だから何?」と思われても別にいいんです。
仲良くなりたいのは、観光客に友好的な現地人のほうです。
日本人であること、現地語を喋る気持ちがあることの二点が伝われば仲良くなれます。
ちなみに、子どもたちは嘲笑に見える「ニーハオ」を繰り出してくることが多いですが、こちらが現地語で返事をすると喋れると思っていっぱい集まってきます。
海外での日本人差別Ⅱ「笑われた」
「中国人と間違われた」と同じくらいよく言われるのが「笑われた」です。
ですが、こちらもよく話を聞くと自意識過剰な思い込みというケースが多いです。
たとえば、「すれちがった現地人に笑われた」という場合、本当にこちらを笑っていたのかはわかりません。
荒野のような自分以外何もない場所でこちらを指さしているのであれば自分が笑われた可能性は高くなりますが、たまたま雑談が盛り上がっていたタイミングですれ違っただけという可能性のほうが高いです。
海外にいる日本人は現地人からすれば「外国人」です。
現地の人にとっては珍しいのでつい目がそちらに向いてしまうことも多いです。
特に話題にしていなくても、たまたま目が日本人観光客を捉えているというケースであれば差別の意図は微塵もありません。
英語を話したら笑われた
これについてはある程度仕方がないです。
日本人の英語は独特の訛りがあります。
現地のコメディアンが日本人を演じるときと同じ訛りで喋り出せば、つい笑ってしまうのも仕方がありません。
嫌なら英会話を頑張りましょう。
でも実は日本訛りの英語を笑う人なんてほんの少しです。
気にしなければいいレベルの話です。
唯一この点においては擁護し辛いです。
間違った人や失敗した人を笑うことが差別やいじめにつながるというのは事実です。
ただ、そこまで敏感に反応しなくてもいいような気はします。
海外での日本人差別Ⅲ「サービスが雑だった」
日本人だから、アジア人だから雑にされたというケースは少ないです。
注意深く見ればわかるように、だいたいの客に雑な接客をしています。
日本では接客業の従業員は常に給料以上の働きで客を崇め奉らなければならないようなマナー()が存在しますが、ほとんどの海外では客と店員は対等な立場ですし、過剰なサービスをする意識がありません。
雑にされたくないのならそう主張するか、常連になりましょう。
常連になると友達感覚で話してくれます。
「テラスじゃなく奥の席に通された」はテラス席がいいと要求していないケースが大半ですし、「自分より後に来た客に先に注文を取りに来た」のは後の客がウェイターを呼んだだけだったりしますし、「後から注文した客の料理が先に来た」のはそっちのほうが人気メニューで作り置きがあったり単純に調理に時間がかからなかったりするかもしれません。
日本の「客の言いなり」精神に慣れ切っている人には、海外の接客に不満があるのかもしれません。
ですが、それはそういう文化だからというケースが大半です。
海外ではお客様は神様ではありませんし、旅行客は無条件でもてなすべき相手ではありません。
最後に
海外で「ニーハオ」と声をかけられて差別だと怒っている人たちは、自分が中国人扱いされて怒っているんですよね?
それって、中国人を日本人より下に見ている発言ではないでしょうか。
その考え方は差別じゃないんですか?
そもそも、アジア人に「ニーハオ」と声をかけるのは単純に中国語話者の比率が高いからというだけです。
どうしても日本人であることを周知させたいのなら、日本国旗が入った日本代表のユニフォームでも着て行ったらどうでしょうか。
※実際にそういう人や浴衣・作務衣で歩いている人は極まれにみかけます
「ニーハオ」発言に怒っておきながら現地語を喋れないという人が多いのも矛盾を感じます。
せめて挨拶くらい現地語を覚えてみましょう。
そこから会話が産まれ仲良くなることもありますよ。
その他の「悪意のある行動」に関しても、自分で要求していないのに日本並みの過剰なサービスが受けられずに差別だと言っている人が多い気がします。
「海外にはアジア人・日本人差別は絶対にない」とは言いません。
ですが「それは自意識過剰だろ」というような内容も多いです。