「海外では日本人差別・アジア人差別が横行している」というのは、いわゆる「鉄板ネタ」です。
私自身が日本に帰国した際もほとんどの人が(なぜかニヤニヤしながら)「差別あった?」「大変なことはあった?」と聞いてきますし、ネット上では当ブログのような個人サイトだけでなく大手マスコミも大喜びでこの手のネタを報道(??)しています。
ただ、その「日本人差別」のいくつかは日本人旅行者側が悪いのでは?というケースがあります。
日本人は「お客様は神様だ」という認識を持つ人が多く「旅行者はお客様」だから特別な便宜を図ってもらって当然だ、と考えているところがあるような気がします。
もちろん全員がそうだとは言いませんし、露骨にそれを態度に示しているつもりがない人のほうが多いでしょう。
ただ、日本人やアジア人は以下の行為をしがちです。
あなたに敵意を持っていないニュートラルな立ち位置の人でも、以下のような事をされたらネガティブな気持ちを持ってしまうかもしれません。
大前提として
まず、私は「海外には差別なんてない!日本人は全ての国の全ての人から愛されている!!」と主張しているわけではありません。
親日と言われている国であっても日本人を差別する人はいます。
詳細は語りませんが、たとえば有名な親日国であるタイなどは(特に半地下のカフェなどの一部エリアで)日本人を嫌う現地人が増えています。
そもそも、国というのは何百万・何千万という人が集まって成り立っています。
だから全員がどちらかに偏っているというほうが異常です。
「差別する人が多い」「親日の人が多い」という表現も、そもそも主観でしか語れませんし、全国民と語りあえない以上「自分が接した人たちは」という但し書きが必要になってきます。
私は新型コロナウイルス発生前から海外を拠点として暮らしていますが、その私の主観ではどの国も「そもそもただその辺を歩いている日本人に対しては好意も差別意識もない」という人が大半だと感じます。
ただ道を歩いているだけで侮辱されることは滅多にありませんし、逆に「いえーい、アナタは日本人?好きよ!抱いて!!」なんて好意を表現してくる人もほとんどいません。
日本人が嫌われる原因
外国人も「人」ですので、差別かどうかとは関係なくその人自身を好ましく思ったり嫌いに感じたりします。
つまりその人個人の態度が原因で、その人個人が嫌われるケースがあるんです。
これは差別ではありませんよね。
ただその人が嫌われただけの話です。
ですが、一部の日本人旅行者の中には勝手に主語を大きくして「いやっ!この人日本人を差別したわっ!!」とSNSに書き立てたりします。
受け身
日本人の多くはあまり積極的に外国人(現地人)とコミュニケーションを取ろうとしません。
買い物でもレストランでも、スタッフが声をかけてくるのを待つケースが多いです。
国によっては、お店に入った時点で挨拶するのが当たり前だったりします。
目を伏せて無言で入ってくると「何かよからぬことを考えているのでは?」という警戒対象になったりします。
また、宿のスタッフや宿泊客に対しても自分から挨拶しない人が多いでしょう。
特に何度か会って顔見知りになっている状態にも関わらず挨拶すらしないというのは相手にネガティブな気持ちを持たせる行為です。
挨拶くらいしましょう。
※国やお店によります
睨む
日本はおもてなしの国で、日本人は礼儀正しくワビサビを理解する崇高な人種。
そう思っているのは日本人だけです。
実は日本人(を含むアジア人の多く)は顔見知り以外に対して無表情または睨みつけるような表情をしていることが多いです。
仮に日本人を好ましく思っている現地人が話してみようと近寄った際にムスっとした表情で一瞥して目をそらされたらどうでしょうか。
実際、旧ソ連圏で仲良くなった「アニメ好き女子」の何人かに「日本人は怖い」と言われたことがあります。
理由は上記の通り、睨まれるから話しかけ辛いというものでした。
アジア人慣れしていない国の(アジア人の顔を見慣れておらず細かい表情の違いを判別できない)一部の人は、日本人の無表情は怒っているように見えるようです。
鏡を見ながら「温和な表情」を練習しましょう。
おでこにしわが出来ない程度に眉を少し上げるだけでもだいぶ印象が違いますよ。
目を合わせない
睨むのとは逆に、目を逸らす・合わせないという人も多いです。
挨拶の際にすら目を合わせないと「ん?この人は今俺に挨拶したのかな?」とわからなくなり、返事をしていいかわからなくなります。
また、海外では「ありがとう」という言葉に対しノータイムで「どういたしまして」と返してくれる人が多いです。
ほとんどの国で、この時相手の目を見ています。
せっかくありがとうと言ったのに変な方向を向いていたり目線があっていないと、せっかくお礼の言葉を伝えているのに思いが通じません。
実際にこちらが相手の目を見ているとわかりますが「素っ頓狂な方向を見たり明らかに視点があっていないまま喋っている」というのはかなり怖いです。
言葉が通じない
「日本人は優秀」という都市伝説の割に、日本人は英語も満足に使えません。
日本人は「間違えたらいけない」という強迫観念があるため、外国語を話す際も完璧な文法と発音でなければいけないと勘違いしていたりします。
その結果、黙り込んでしまう人が多いです。
ただでさえ文化の違う外国人という「何考えているかわからない人」なのに、さらには喋りもしないとなれば好意的に見る要素はほとんどありません。
間違っていいです。
単語だけでいいです。
喋りましょう。
出川イングリッシュをバカにする人やネイティブな発音を笑う人がいますが、海外に来たらその感性は捨ててください。
黙って半笑い(愛想笑い)で突っ立っている人は「ちょっと頭がおかしいかもしれない人」と思われても仕方がありません。
やたらと写真を撮る
海外旅行でテンションが上がっている人は、「現地人にとってはただの日常の風景」にすらもカメラを向けたがります。
その際、普通に生活している人を勝手に撮影していたりします。
「市場」も「家屋」も「教会」も、そして道を歩いている人たちも見世物ではありません。
そこで生活している人の気持ちを考えずパシャパシャ写真を撮っている人に対し、現地の人が不快感を持つのは自然です。
日本でもいきなり見ず知らずの人がカメラを向けてきたらイラっとしますよね?
同じことです。
写真を撮るなら許可を取りましょう。
市場などならまず買い物をしてから撮影の許可を取りましょう。
撮影可能な場所・人であっても、一言声をかけるだけで印象は大きく変わりますよ。
海外での最低限のマナー
海外旅行・海外移住に限らず、海外に行くのなら最低限すべきことがあります。
それは「現地の国・人・文化を尊重する」です。
「我、日本人様なり」という態度は嫌われて当然です。
相手を尊重する態度さえ伝われば、まともな現地人は差別などせず好意的に迎えてくれます。
※「まともな」という単語を読み飛ばさないでくださいね
今回紹介した嫌われやすい行動の数々は、現地への敬意があればしない行為が多いです。
外国で差別を受けにくい人たちがよく言うのは「現地語を喋る」です。
もちろん言語はとても習得が難しいのでペラペラになるのは大変です。
せめて「こんにちは」「ありがとう」「またね」くらいは現地語を使いましょう。
英語が通じる国であっても、挨拶を現地語にするだけで対応は大きく変わります。
「ニーハオ」と声を掛けられていきなり激昂せず、現地語で挨拶を返してみましょう。
「ハナからバカにしようとしている人」でなければ、「おぉ!お前言葉わかるのか!どっから来た?」と話しかけてきます。
挨拶だけしか使えなくても「勉強中だけど難しいよね」と伝えたら笑顔になる現地人が多いです。
※ニーハオはアジア人に対するHelloのような意味合いで使う人が多いのでこの単語だけで差別認定はできません
「目線を合わせる」「こちらから喋りかける」というのは日本人の多くが苦手としていますが、これができると不快な思いをすることはかなり減ります。
頑張りましょう。
最後に
どうでしょうか。
当てはまるものが一切ないという人はいないでしょう。
海外で差別(というか、一個人に対する嫌がらせ)を受けたくないのであれば、上記を意識するといいと思います。
私は何年も海外に暮らしていますが、「酒に酔ったおかしな人」くらいにしか嫌がらせを受けたことがありません。
ちょっとやんちゃな若者の集団相手であっても、カタコトの現地語で先に話しかけてしまえば明確な差別や暴言・暴力は滅多に受けません。
繰り返しますが、もちろんどの国も差別する人間が「ゼロ」になることはありません。
「外国人」は海外の人の総称であり、一人ひとりが違った思考をしています。
過去に日本人に嫌な目にあわされた人は「日本人」というだけで毛嫌いするかもしれませんし、「お金持ちの海外旅行者が金にものを言わせてやりたい放題している」と考える人だっています。
そして当然「感染症をバラまいたのはアジア人だ」という思考をする人だっていますし「特に理由はないけどアジア人はバカにしていい」と考えている人だっています。
※その思考が正しいという意味ではありません。クズな思考の人間はどの集団にも一定数いるというだけの話です
差別はいけないことですし、なくなって欲しいとは思います。
ですが差別をするようなクズを簡単に矯正することはできません。
外国だろうと日本だろうと、全ての人が物事を正しく理解し考え行動できているわけではありません。
一部のおかしな人にまで好意を持ってもらう必要はないので「そういう人がいる場には近づかない」「そういう人と出会ったらさっさと離れる」を徹底しましょう。