日本は物価が高く、それに見合った給料を貰えている人は少ないですよね。
その状況はあの感染症が発生する遥か前から続いており、外こもりという方法で日本から離れる人もたくさんいました。
今後例の感染症が普通の風邪レベルになったら海外に逃げようと思っている方へ悲報です。
現地の駐在員や大使館員という超エリートではなく、外こもりやその延長の海外ノマドを目指している人にはやらなければならない過酷なことがあります。
シンドいアレ
それは「生活のダウングレード」です。
当たり前すぎるからなのか、海外ノマドや外こもりを推奨しているいんふるえんさぁたちはこのことを言わず、ただただ「素敵な国!」と連呼しているように見えます。
※私は彼ら彼女らのファンではないので全ての発言を追えていないため、実はちゃんと言っているかもしれません
物価の安い国では日本の当たり前が通用しません。
たとえば頻繁に断水したり停電したりする国は多いですし、騒音や不衛生な環境に耐える必要があるかもしれません。
もちろんそういう国でも断水せず停電せず騒音もなく衛生的な生活は可能です。
可能ですが、その水準での生活費は高いです。
生活費を安くするということは、今まで当たり前だったもののいくつかを捨てるということです。
もちろん修行僧のようにすべてを捨てて断捨離するまでではありません。
自分に不要なものを捨てて、どうしても欲しいものを残すことになります。
ただ、「日本より物価が安い」というのは現地の衣食住に適応した場合の話であり、日本と同じ生活をするのなら日本より高くつくということも覚悟する必要があります。
人は「今まで持っていたものがなくなること」に強烈な不快感を持ちます。
そのため、生活のダウングレードはとても辛いことです。
日本で当たり前だったものがなくなることに耐えられるかどうかが外こもりや海外ノマドの最初の関門の一つと言えるでしょう。
日本より高いもの
病気や怪我の治療ですさまじい額を請求されたという都市伝説は有名ですよね。
※実際に高額の治療費を払った人が身近にいる人は極めて少ないはずです。その理由は当然「保険に加入しているから」です
日用品や食べ物の一部も日本の方が安いケースがあります。
100均の商品
海外に出たことのない方は知らないかもしれませんが、「100円均一」で買える商品は海外では高くなります。
海外にもダイソーやそれをパクったメイソーという一見安そうに見えるお店はあります。
ですが100円ではないですし、質も日本のダイソーより悪かったりします。
※タイなどではダイソー商品と同じものが売られていることがありますが、値段が高いです
特に日本であまり裕福に暮らせていない方は100円均一にかなりお世話になっているはずです。
海外では100円均一で買えるようなものが高くなるため、結果的に支出が増えてしまったり手に入らないことで不便を感じたりするかもしれません。
日本食
日本食を日本クオリティで食べるのなら、どの国でも高いです。
「日本食」というのは〇〇御膳のような高級料理だけを指しているのではなく、スーパーで手に入るカレーやお菓子も含みます。
たとえばタイで日本では100円台で手に入るカレールー(10皿分)を買うとなると300円以上します。
お菓子も1.5倍から2倍はします。
これがジョージアなど東南アジア以外になるとさらに値段は跳ね上がり、モノによっては5倍近い値段になることもあります。
ちなみにうまい棒はイギリスでは1ポンド(約150円)でした。
タイより物価が安い頃のウクライナではキットカット抹茶味の小袋(日本で100円のもの)が400円しました。
※キットカットそのものは世界中で手に入りますが、売られていたのは日本語パッケージの抹茶味という限定商品でした
お米に関しても、米そのものの質もさることながら「日本の炊飯器」が使えないことで美味しく炊けないという問題が発生します。
美味しいお米と日本でよく食べる料理やお菓子。
この2つが外せないなら、海外に行くと出費がかさみます。
服と靴
ブランドものだけでなく、質のいいメーカーの服と靴は基本的に日本のほうが安いお店が存在します。
物価の安い国にはその国民向けの安い衣類もありますが、質が悪いです。
問題なのは靴です。
服は安物でも着れればいいと考えられなくもないですが、靴は安物だと健康を害します。
物価の安い国の多くは道も悪いため、質の悪い靴だと疲れやすく怪我の可能性もあります。
医療
物価の安い国は医療技術が低い上に治療費が日本より高いケースが多いです。
だから海外旅行保険(または現地の健康保険的なもの)への加入は必須です。
短期旅行と大きく違うのが「歯」に関してです。
きちんと予防していても、長期になると虫歯のリスクは出てきます。
ギリギリの生活をするのなら、虫歯治療の出費も大きなリスクです。
保険に歯の治療が含まれているか、確認しましょう。
なお、日本の海外旅行保険の大半は歯の治療は含まれていませんので注意してください。
だから結局
上記の話を「今初めて聞いた」という人はいないでしょう。
「そんなの知ってるよ」と思っているかもしれません。
ただ、知っているはずなのにいざ外こもりや海外ノマドを始めると「月5万以下の生活なんて無理!」と言い出し日本に出戻りする人は大勢います。
だから結局、「行ってみなけりゃわからない」となります。
百聞は一見に如かずです。
いきなり仕事を辞めてアパートも解約して日本を捨てるように外こもりをスタートさせるのではなく、日本の拠点をそのままにして1か月くらい外こもりのメインにしようとしている国へ行ってみましょう。
もしあなたが社会人なら1か月は難しいと思うので、とりあえず有給と連休をうまく使って1週間くらいは行ってみましょう。
もちろん観光ではなく外こもりするつもりで、現地に馴染めるかをテストしてください。
外こもりをする際に想定する生活費と生活スタイルで過ごしてみましょう。
住居も高級ホテルではなく現地のアパートなど、外こもり時に住むクラスを選択してください。
短期だと高くなりますが、AirB&Bを使えば直接契約をせずに住んでみることも可能です。
※もちろん生活家電などは用意されています
もし外こもり中に自炊するつもりなら、テストでも自炊する必要があります。
食材調達から宿での調理、そしてそれを数日続けても辛くないかを確認しましょう。
短期滞在と長期滞在では「余暇の過ごし方」に最も差が出ます。
趣味を持っていない場合、長期間何もすることがないと地獄のように感じるかもしれません。
自分の趣味を物価の安い国でも継続できるかは絶対に確認が必要です。
外こもり・海外ノマドをする人に忘れないでほしい事
外こもり・海外ノマドはいつでも辞めることができます。
「一度決めたらやり遂げなくてはいけない」という呪縛を持つ人が海外で苦しんでいる姿をよく見ます。
その国が肌に合わないと思ったら別の国に移動してもいいし、日本に戻ったっていいんです。
※もちろん1年2年と海外でゴロゴロしていると、日本に戻ってからの再就職の難易度は跳ね上がります
また、外こもりを継続するつもりであってもたまには日本に戻っていいんです。
外こもりや海外ノマドは日本国籍のままです。
日本を捨てたわけではないので、日本に戻ることに何の罪もありません。
※もちろん、例の感染症が収束していない状況であれば国のルールに従う必要がありますし、ワクチンやPCR検査などをしっかり行った上で自粛要請も守るべきです。「自粛はお願いだから」と言って到着した日からノーガードで動き回るような人はそもそも海外に出ないでください。自由と自分勝手は違います
最後に
外こもり・海外ノマドをする場合、多くの人は日本の生活より水準が下がります。
生活水準を下げるのはかなりの苦痛が伴う可能性があります。
旅行ならそれを楽しめるという人も、それが長期となると耐えられないかもしれません。
だからいきなりすべてを捨てて海外に飛び出さず、短期でテストを行いましょう。
また、実際に長期滞在をスタートさせてから辛くなった場合はいつでも日本に帰って大丈夫です。
※繰り返しますが国のルールは守る必要があります
日本の生活が辛くて海外に出たのに海外で辛いことを我慢する必要はありません。
海外と日本、どちらが自分にあっているかを判断し、辛くない方を選んでください。