「寝そべり主義」という言葉をご存知でしょうか。
中国の若者の間で流行している主義で、「無理に頑張らない生き方」のことです。
中国と言えばご存知の通り「社会主義」の国です。
でも「無理に頑張らない生き方」は民主主義である日本でも受け入れられそうですね。
ただ、中国では「最も偉い人」こと習近平総書記が問題視したそうです。
寝そべり主義とは
字面だけ見て脊髄反射をしないで欲しいのですが、「寝そべり主義」というのはただベッドに寝転んで何もせずに生きることではありません。
自分の食い扶持を稼ぐ程度の最低限の仕事だけをして、出世などの野心を持たずにリラックスして生きるという考え方です。
当然ながら好きなこと・興味があることには取り組むので「何もしないのは逆に辛くない?www」とヘラヘラしながら煽って来なくて大丈夫です。
これは日本における生活保護不正受給などのようなズルをして国から生活費を奪い取るような生き方ではありません。
※「不正受給」と「病気やケガなどの正当な理由で働けない人が生活保護を受け取ること」は全く別の話です。後者は何も問題ありません。そういう方が生活保護など国のサポートを受けるのは当然の権利です。ゆっくりしっかり治療に専念してください
それってもしかして?
日本では(というか全世界で)、外こもりが流行したことを覚えているでしょうか。
「物価の安い国でのんびり過ごす」というアレです。
中国の「寝そべり主義」はまさに外こもりの人たちが理想とした生き方のような気がします。
日本の場合、物価が高いので国内で「寝そべり主義」の生き方ができず、物価の安い海外に行くしかありませんでした。
※田舎なら安いというのは勘違いです。各種税金、不思議な制度の敷金礼金、いろいろなサービスの〇年縛りなどなど、日本は田舎でも物価は高いです
中国の場合は都会から離れればまだ物価が安い地域があるため、国内で外こもり的な生き方ができるということなのでしょう。
何が悪いのか
中国は社会主義であり、「共同富裕」という社会全体が豊かになることを目指しています。
「寝そべり主義」の若者が増えると国内の労働力が落ち、野心のない若者だらけになると技術的な発展も見込めなくなります。
だから中国の政府の考えとして「寝そべり主義は容認できない」としています。
日本でもダメ?
マクロな視点で言えば、日本でも寝そべり主義はダメです。
経済が停滞し企業の力も弱くなっている理由を「若者が無気力になった」とする高齢者の方は多いですよね。
若者の無気力が全てではありませんが、原因の一つであることは間違いないはずです。
なので長期的に見れば無気力な若者だらけになったら国としての成長は見込めないでしょう。
ちなみに私を含めた無気力な人・外こもり・海外ノマド・ニートなどなどこの手の寝そべっている人たちは「自分さえよければそれでいい」と考えています。
ただ、「子どもや孫の世代がどうなろうと知ったことではない」という独りよがりな考えだけの人だけではありません。
頑張った方が国や子どもたちの未来のためにいいのはわかっているものの、そのために自分が犠牲になるほどの高尚な精神は持ち合わせていないという人が多いです。
頑張った見返りがない、つまり労働に対する対価が驚くほど少なく、「将来のため」という曖昧で不確実な「やりがい」だけではモチベーションが保てないという人もいます。
その人たちをやる気にさせるためには、高齢者たちのような「今の日本を作ってきた人」「会社での発言権や決定権を持つ人」が先に動くことが必要ではないでしょうか。
ただ「俺の時代はみんながむしゃらに働いたんだ。だからお前も会社に身を捧げろ」と言っても通じません。
なお、寝そべっている人たちは上記に挙げたタイプの「どれか一つに該当する」わけではありません。
おそらくほぼすべての人がすべてのタイプの要素を持っていて、その比重がちょっとずつ違うのだと思います。
最後に
ということで中国の寝そべり主義の話でした。
日本などで新型コロナウイルス以前に流行しかけた「外こもり」の国内版のようなものですね。
「自分の食い扶持は稼いている」という点は重要です。
決して生活保護不正受給などのようなズルをして国や地方自治体や親などからお金をせしめている「タダ乗り」ではないことに注意してください。
長期的な視点で言えば、中国だろうと日本だろうと問題のある生き方ではあります。
寝そべり主義賛同側の私としては、「自分の食い扶持以上に働いて欲しいのならそれ相応のリターンを用意して欲しい」と思います。
「お国のため」「将来の子どもたちのため」に働きなさいという不明瞭な「やりがい」だけではモチベーションは上がりません。
そもそもその仕事にやりがいを感じるかどうかは働く側の私が決める事であり、「ほらどうだ、この仕事はやりがいがあるだろう?」と用意されても納得できません。