ジブリ映画「猫の恩返し」は、「耳をすませば」のスピンオフ作品です。
「耳をすませば」の主人公である月島雫の書いた小説が「猫の恩返し」という設定になっています。
また、この「猫の恩返し」にはジブリ映画の前に漫画が描かれており、そちらが直接の原作ということになります。
ちなみに原作漫画を描いたのは柊あおいで、宮崎駿からのリクエストで執筆しています。
リクエストを受けたものの、直接映画の脚本を渡されて漫画にしたわけではありません。
そのためいくつか原作漫画と映画では異なる点があります。
当記事ではその違いをいくつか紹介したいと思います。
なお、細部まで網羅するのは文章では難しいため、細かい内容を知りたい方は漫画を購入することをオススメします。
全二巻となっており、電子書籍版もあるので手軽に読むことができますよ。
白猫のユキ
個人的に、漫画と映画で最も違うと感じたのは白猫のユキです。
ユキとは、主人公のハルが子どもの頃に魚型のクッキーをあげた野良猫で、本編では猫の王子・ルーンの恋人として結婚することになっています。
原作漫画でも王子・ルーンの恋人なのですが、ハルとの関係が違います。
母「死んじゃう時悲しいもんね」
ルーンを助けたことで「猫の恩返し」を受けたハルに向かって、母が「飼っちゃえば?」と言うシーン。
それに難色を示したハルに対し、母は「死んじゃう時悲しいもんね」と口にしています。
ハルには父がいませんが、ここではおそらく父を失ったことではなく昔飼っていた猫を亡くしたことを表現しているものと思われます。
この「昔飼っていた猫」が白猫のユキです。
映画版では子どもの頃にたまたま出会った汚れた野良猫という設定でしたが、原作漫画ではハルが飼っていた猫となっています。
映画版でも首に巻いたリボンに少しだけその名残があります。
原作漫画ではこのリボンはハルがつけたものです。
ユキの最期
原作漫画では、ユキは交通事故で亡くなっています。
直接事故のシーンは描かれていませんが、ハルの前から走り去るユキと、その直後に車のブレーキの音が響くという方法で表されています。
映画版ではぼかされていますが、「猫の国」は「人間界にいられなくなった猫が行くところ」つまり死んだ猫が行く黄泉の国ということになっています。
ユキが猫の国におり、終盤にハルと一緒に戻ることを拒否したのはすでに亡くなっていたからということになります。
魚型のクッキーは原作には存在しない
映画版の物語が始まるきっかけは、王子・ルーンが恋人の欲しがった魚型のクッキーを探しにハルの街に来たことです。
ですが、原作漫画ではこのエピソードはありません。
原作ではルーンは恋人の大切な人であるハル自身を探しに人間界に来ていました。
ルーンはハルに助けてもらったものの、そのときに名前を聞いていないまま別れています。
ちなみに、原作漫画でルーンはユキに「イカでできたコップ」をプレゼントしています。
猫王の違い
まず、名前の読み方が違います。
映画版では「ねこおう」ですが、原作漫画では「みょうおう」です。
また、どちらの作品でも傍若無人なふるまいをしていますが、映画版では王子・ルーンに恋人がいるとわかってからハルを自分の妃にしようとしたのに対し、原作では行方不明になっている本来の妃のことを家来に探させ続けています。
ツゲちゃんとひろみ
映画版ではハルの親友・ひろみは卓球部のツゲちゃんを追いかけていますね。
ひろみは原作漫画と映画で同一人物ですが、ツゲちゃんは別人です。
原作漫画でのツゲちゃんは卓球部のエースではなく、ひろみは卓球の応援にも行っていません。
大量のラクロスのラケットの後日談
ルーンを助けたことで、「猫の恩返し」として大量のラケットが送られました。
ひろみは迷惑がっていましたが、あの大量のラケットは結局リサイクルショップに持ち込んだことで「かなりの額」になったようです。
最後に
「猫の恩返し」の映画と漫画の違いのうち、個人的に気になった内容を紹介しました。
原作漫画では「猫の恩返し」の後日談や、前作にあたる「耳をすませば」の後日談なども収録されています。
興味がある方はぜひ読んでみてください。