心臓に病気を患っており、手術が直前に
迫っている翔。
アリエッティとの別れのシーンでは、
「君は僕の心臓の一部だ」と告白して
いますよね。
その後、結局手術は成功したのでしょうか。
いつ手術が行われたのでしょうか。
目次
手術は成功していた！！
ネット上では、借りぐらしのアリエッティ
はバッドエンドだとしているサイトも
多く、その中には翔の手術は失敗し、
帰らぬ人となっているなどという情報も
ありました。
しかし、実際には全く違います。
翔の手術は成功しています。
その理由はというと・・・
成功しているとするたった一つの確実な理由
それは、物語の序盤の翔のモノローグ。
「僕はあの年の夏、母の育った古い
屋敷で、一週間だけ過ごした」
これです。
「あの年の夏」「過ごした」という、
年単位での過去についての回想という
形で物語が始まるのです。
つまり、借りぐらしのアリエッティと
いう作品は、翔が語る過去の思い出
ということになりますよね。
アニメの世界なので、霊体になっても
語り部になれるという可能性は残るかも
しれませんが、常識的に考えて、翔は
生きていて、少年の頃に出会った不思議
な小人との話を語っていると考えるのが
自然でしょう。
なぜ手術の結果が語られない？
これは個人的な予想となってしまうの
ですが、作品内では生きる気力を失って
いた翔が、アリエッティとの出会いを
通じて生きたいと思うようになったと
いう時点で完成しているからなのでは
ないでしょうか。
つまり、翔の心の成長を描いた物語
だったのではないか、と。
翔が前を向いて歩き出せたことに価値が
あり、生きていくために手術を受けよう
と決心するまでの物語だったと私は感じ
ました。
翔の心の成長を描きたかったのであれば
手術の結果は重要ではなくなります。
もちろん、手術の成功まで描くことで
ハッピーエンドにもできるでしょうが、
そうなると今度は引っ越したはずの
アリエッティとの再会も必要となって
きます。
現時点でも原作と比べ、驚異的な速度で
物語が進んでいくのに、さらに手術や
再会シーンまで盛り込むとしたら、
下手をすれば倍の3時間になってしまう
かもしれません。
子供たちも見るジブリ作品で、１本の
映画に3時間もかけては、逆に冗長に
なり、放映終了後まで起きていられる
少年少女は皆無、ということにもなり
かねません。
そう考えると、翔の心の成長を描き
きった時点で終了とするのがきりの
よいタイミングだったのではないで
しょうか。
二人は再会できたの？
翔の手術の結果とともに、二人のその後
も気になるポイントですよね。
翔は最後に「君は僕の心臓の一部だ」と
アリエッティを非常に大切に想っている
ことを伝えていますし、それに対し
アリエッティも自分の髪留めを翔に渡す
ことで応えています。
心臓は人間にとって最も大切な器官の
一つです。
その一部とまで言ったのであれば、本来
であればひとときも離れたくないはず。
ですが、その後スピラーの運転する
やかんに乗ってアリエッティ一家は次の
住処へと引っ越していきました。
結果的に言えば、翔とアリエッティは
あの後再会はできていないはずです。
再会できない２つの理由
１つは、翔があの屋敷に住んでいたのは
病気療養のためで、冒頭に翔本人が言う
ように１週間だけの滞在だからです。
翔の手術は、アリエッティと別れた日の
２日後です。
つまり手術前の療養はもう終わりなの
です。
そして２つ目の理由として、アリエッティ
たちが川を下っていったという点。
当然ですが、川は一方向にしか流れま
せん。
小人たちの足で、あの川下りを逆走して
翔のいる屋敷に戻るのは非常に困難です。
翔はアリエッティがどこに引っ越したか
しる術がなく、自由に動き回れるスピラー
とは面識がないため、お互い連絡を取る
手段がありません。
つまり、翔はアリエッティの住処を
知らないので会いに行けず、
アリエッティは距離の問題で翔の屋敷に
戻ることができないのです。
これでは会うことはできませんよね。
原作小説
借りぐらしのアリエッティの原作は
イギリスの小説で、こちらになります。
楽天やアマゾンでも買えますが、図書館
にも置いてあることが多いです。
また、非常に読みやすく、対象年齢は
11～12歳と、小学校5,6年生でも読む
ことができます。
原作小説は全てで5巻
「床下の小人たち」はシリーズもので
あり、全部で5巻まで出版されています。
タイトルは以下の通りです。
・床下の小人たち
・野に出た小人たち
・川をくだる小人たち
・空をとぶ小人たち
・小人たちの新しい家
映画になったのは？
メインは一巻の「床下の小人たち」です。
また、タイトルでわかるように三巻の
「川をくだる小人たち」がエンディング
のアリエッティたちの引越しになります。
原作版の注意
実は、原作には翔は出てきません。
イギリスの小説なので当たり前と言えば
当たり前なのですが、翔だけでなく
他の登場人物もかなり違います。
詳細はぜひ小説を手にとって、確かめて
みてください。
イギリスの文化と日本のジブリの解釈の
違いは面白いですよ。
小説は読むのが面倒！という人のために
実は、「床下の小人たち」シリーズは、
ジブリだけでなく、アメリカでも映像化
されています。
borrow-er-s、ボロワーズは原作小説の
「床下の小人たち」の原題でもあります。
また、放映日が1997年ということで、
ジブリの「借りぐらしのアリエッティ」
よりも前の作品となります。
こちらを見てみるのもいいかもしれませ
んね。
実はこの映画、ハリーポッターの
ドラコ・マルフォイこと、トム・フェルトン
のデビュー作でもあります。
そういう意味でも一度は見ておきたい
映画と言えるでしょう。
