外国からの観光客が激減したことで、京都などの観光地が大ダメージを受けています。
このニュースを受け、「インバウンドに頼った国」を否定する人が増えていますね。
ただ、中には極端に「鎖国すべき」「外国人は一人も来るな」などと何百年も前の時代に戻ろうとしているかのような主張をしている人がいて驚きます。
日本は(というか全ての国は)鎖国したら経済的に終わります。
なぜ訪日外国人がダメなのか
今回の新型コロナウイルスで、観光客が減少したことで多くの観光地の収入が激減しました。
この件で「インバウンドに頼るのは間違っている」と主張する人が大勢います。
極端な人は、外国人を完全にシャットアウトしていれば日本にウイルスは入ってこなかったとまで考えているようです。
たしかに、春節のタイミングで往来を禁止していればもっと被害は小さかった可能性はあります。
「春節での観光収入」という目先の利益に走ってしまった感は否めませんね。
マナーの悪さ
新型コロナウイルスとは無関係に、観光地でのマナーの悪さから外国人観光客を嫌っている人がいます。
気持ちはわかります。
大きな声で怒鳴るようにしゃべったり、当然のようにゴミを道端に捨てるような外国人は多いですよね。
これは早急に対応すべき問題です。
対応すべき問題ではありますが、「外国人は全員シャットアウト」という対応は間違いです。
2019年のインバウンド消費は4兆円を超えていたそうです。
その一部を使ってマナー改善に取り組むなどの対策を取るべきだったのではないでしょうか。
鎖国って(笑)
まず、今の時代に海外との人の往来をゼロにすることは不可能です。
観光客をゼロにすると4兆円を超すインバウンドを失うことになります。
それを日本人だけで補填できるのでしょうか。
そのためのお金はどこから?
日本の企業に4兆円分の追加の利益を上げられる能力があるでしょうか。
あるなら最初からやっていますよね。
外国人ゼロの鎖国案
※インバウンドは外国人の旅行を指しており労働者は含みません
外国人に日本の地を踏ませないということは、日本企業で働く外国人もNGということですよね。
日本の企業でも上の役職から下のバイトまでたくさんの外国人が働いています。
この人たちがいなくなったらいくつもの企業が潰れてしまいます。
コンビニのバイトなども外国人が増えました。
もし外国人が日本からいなくなったら、多くのコンビニが潰れるか、店長・オーナーが潰れるかのどちらかです。
「外国人労働者」と聞くとこういった単純労働や安い賃金で使い潰されているタイプを想像する人が多いでしょうが、実は一流企業での役職に就いている外国人も多いです。
彼ら彼女らは日本の一般的な労働階級の人々より能力が高く、その企業になくてはならない人材です。
輸入もしないという強硬派
※インバウンドは外国人の旅行を指しており輸出入は関係ありません
鎖国を主張している人の中には外国人を拒んでいるだけでなく、輸入品すらも拒もうとしていたりします。
「高くても国産の食材しか食べない」「海外製品一切使わない」などです。
もちろん、今の国内の農家の状況を考えれば、多少高くても買い支えることはとてもすばらしいことです。
ですが経済的にそれを続けられるほど裕福な家庭は少ないです。
また、衣類はブランド品からワンコインのものまで外国で作られているものがたくさんあります。
今の日本で全国民の衣料を国内で生産できるのでしょうか。
国産ブランドの電化製品の中身を知っているのでしょうか。
大企業は海外に自社工場をたくさん持っています。
輸出入までやめるなら海外工場も閉鎖ですよね。
さらに小学校や中学校で勉強した通り、お米や小麦粉などを含めたほとんどの食材は輸入に頼っています。
日本の全人口の食料を日本国内で生産するには農家が足りません。
ついでに言えば、輸入を制限するなら当然輸出も制限することになります。
日本を代表する大企業であるトヨタは国内工場で生産した車の半分が輸出です。
もちろん海外にもたくさんの工場があり、国内よりも生産台数が多いくらいです。
鎖国して海外との取引をゼロにするのであればトヨタは単純計算で今の1/5の経済規模になることになります。
他の大企業も似たり寄ったりでしょう。
鎖国すると我々日本人に給料を払ってくれる企業の経済規模が1/5になります。
大規模な首切りが発生するのは確実ですし、もしそれをしないなら給料が1/5以下になるでしょう。
しかも海外の安い品物が入ってこないので日々の生活費は上昇します。
生きていけませんね。
インバウンドはあっていいのでは?
今回の新型コロナウイルスでは、訪日外国人がいなくなったことで観光地が大打撃を受けました。
ですが、それは仕方がないことです。
もし訪日外国人に頼っていなかったとしても、新型コロナウイルスで外出自粛となれば日本人だって観光は自粛するので同じことです。
イベント系の企業や習い事系の企業はインバウンドとはあまり関係ありませんが大打撃を受けました。
インバウンドに頼ったことが間違っていたから観光地が痛い目を見ているわけではありません。
今回の新型コロナウイルスは仕方がないんです。
ですが誰にも予想できないことでしたし、そもそもこんな大災害は頻繁に起こることではありません。
次の「大災害」に向けて外国人を締め出すというのは間違っています。
なお秋・冬に訪れるとされている新型コロナウイルスの第二波は次の大災害ではありません。
今の大災害の続きです。
高確率で来るのが予想できるのであれば、そのための対策を立てるべきです。
現状の無症状感染者を判別できずワクチンも完成していない状況に限れば、不要不急の観光は自粛してもらうのがよいでしょう。
アフターコロナ、つまりコロナの災厄が過ぎ去り対応が可能になった後であれば、中国人も韓国人も「マナーをしっかり学んだ上で」お金を落としに来てもらえばいいと思います。
ちなみにインバウンドというのは外国人の旅行のことなので、土地の買い占めや企業の情報流出は別問題です。
私も外国人が日本の土地や建物を買い漁っていることには危機感を覚えます。
日本人以外が簡単に売買できないようなルールは必要だと感じます。
最後に
アフターコロナの日本について、インバウンドに頼らない国にしようという主張をしている人は多いですね。
個人的には日本国内のルールやマナーを守ってさえいればどの国の人も来てくれていいような気はします。
過激な人は鎖国を主張していますが、たぶん言っている本人もそれが叶わないことは分かった上でギャグとして言っているんでしょうね。
真に受けてこんな長々と反論せず、ただ「んなあほな」とでも言っておけばいいのかもしれませんね。
比率として日本人観光客を増やすべきという主張であればわからなくはありません。
その場合は日本人にもっと休暇と収入を与えないとなりませんね。
「仕事は減らしたい。でも給料は今以上に欲しい」ということになるわけですが、果たしてそんなことが実現できるのでしょうか。