新型コロナウイルス真っただ中の2020年、「ワーケーション」というクレイジーな用語が普及しはじめました。
実際にワーケーションをしている人は極限られた人たちですが、もし日本の一般企業が「今の日本社会の風潮のまま」取り入れたら地獄が始まります。
ワーケーションとは
ワーク(労働)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地で休暇しながらリモートで仕事をすることを指します。
日本では新型コロナウイルス後を見据えて国会主導で話題にしていますが、元々は2000年代にアメリカで生まれた造語だそうですよ。
アメリカなど欧米諸国ではオンオフがはっきりしていると言われています。
仕事への意欲も高い人が多いとされていますので、そういう人たちは休暇中に仕事をできるのかもしれませんね。
ワーケーションが今の日本人に向かない理由
日本の労働者はワーケーションおよびテレワーク・リモートワークで質の高い仕事をすることができません。
日本人はオンオフを分けるのが苦手です。
そして基本的に「時間給(時給・月給)」の考え方で働いています。
その上、なぜか残業などで長時間働くことを「会社への忠誠心」と考えています。
残業をせずに人よりも仕事をしている人が定時に帰ると、仕事が終わらずに残業をしている人たちが見下した発言をするというのはよくある光景です。
つまり日本人の多くは「質より量」という考え方をしています。
そんな人たちが上司や同僚など監視する人のいない場所で働いて、職場と同じ質の労働ができるでしょうか。
新型コロナウイルスによる外出自粛期間のテレワークでも、自宅ですら集中できない人がたくさんいましたよね。
そういう人たちがリゾート地で誘惑に囲まれて仕事ができるでしょうか。
結果的に、質が悪いので長時間働くことになる上に日常と切り離されたはずのリゾート地で仕事のことを考えて休むことができないという結果になるでしょう。
ちなみに日本ではそれを戒めるための文言が存在します。
二兎を追う者は一兎をも得ず
ワーケーションはまさにその状況に陥る悪手です。
バケーション費用は自分持ち、でも仕事はしてね...??
せっかくお金をかけてリゾート地に遊びに来ているのに、誘惑に後ろ髪を引かれながらの効率の悪い仕事に時間を取られ、結局1日中仕事をするという状況が目に見えます。
ですが、おそらくはリゾート地へ行く費用もホテル代も全て自腹なのでしょう。
もし会社が負担してくれるのであればアリかもしれませんが、2020年4月の外出自粛中のテレワークでネット回線やパソコンなどを負担しなかった会社が休暇の費用を負担するとは思えません。
労働者にとっても「自腹で出かけてほぼ缶詰になる」なんて許せないですよね。
ワーケーション実践の経験談
私は新型コロナウイルス発生よりずっと前から外こもりをしています。
ブログやプログラミング、イラスト関連などのネットで完結する仕事をしながら、物価の安い国を転々としています。
そのため仕事をしている場所は海外のホテルや喫茶店です。
つまりワーケーションと似たような生活をしていることになります。
今やっているのは「好きなこと」だけですが、それでも始めた当初は習慣化されていなかったので数日間仕事をしないなんてこともありました。
「活動しなければ今月分の収入を得られない」という強烈なノルマが存在するにもかかわらず、誰にも「やれ」と強制されていない状況ではついつい誘惑に負けてしまいます。
多くの会社員の方もきっと同様に誰も見ていなければ動けないのではないでしょうか。
最後に
ワーケーションというのはバケーション(休暇)中にワーク(労働)を強いるという信じがたい言葉です。
日本の会社員にはこの働き方は向いていない人が多いはずです。
休暇中にも仕事のことを考えなければならないのなら満足に休めないでしょう。
休暇先で仕事をしても目の前の誘惑によって時間効率は最悪なものとなるでしょう。
質の悪い労働時間が増えていくことになります。
もちろん、人によっては「自然に囲まれていた方が捗る」「コーヒーショップにいたほうが捗る」ということもあるでしょう。
そういう人たちにとっては実現したらありがたい制度ですよね。
一部の職種・一部の企業、そしてその中でも一部の人が選択できるのであればいいですが、今の日本では「それはずるい」「それは差別だ」という声も上がるでしょうし、一律でやろうとしそうです。
結果として休みたい(バケーションを取りたい)人も働かなくてはならず、休める日のない地獄のような人生を送ることになりそうです。