新型コロナウイルスの影響で自粛を要請される日々が続き、「やることもないし資格の勉強でもするか」という人が増えています。
そういう人に水を差すような記事がありました。
堀江貴文「コロナ禍に資格の勉強を始める人が見落としている根本的な間違い」
という記事です。
ヤフーニュースにも掲載されたので目撃した方もいるかもしれませんね。
ホリえもんはライブドア時代からどんなことでも目立てば宣伝になるというスタンスであり、行きつくところまで行きついた感じがしますね。
記事の内容
プレジデントオンライン社の公式サイトで読むことが出来ますのでぜひご自身の目でご一読ください。
「なんだ、この記事はプレジデントオンラインを読ませるための宣伝か」と考える脳内三回転ひねりジャンパーの方はここでお戻りくださっても構いません。
上記記事は消えるかもしれないので簡単に私がひっかかった点だけを要約すると
・STAY HOMEで資格の勉強などするな
・好きなことだけで生きられるのに
・資格勉強よりZoom合コンなのだ
となっています。
では、一つずつつっこんでいきましょう。
「STAY HOMEで資格の勉強などするな」??
本文に
「いま」資格のための勉強って、意味ある?それって会議や移動で時間を奪われていたコロナ前と、変わらなくね?
と書かれています。
コロナ前というのは新型コロナウイルス発生前のことだと思いますが、その頃と変わっていないといけないんでしたっけ。
私は全文をyahoo版とプレジデントオンライン版で合計3回読み直したのですが、以前と変わらない行動をすることが悪いことであるとする理由が見当たりませんでした。
もしかしたらこれかな?と思ったのは「自分のやりたいことのために時間を使うのが当たり前の人生」というくだりです。
ただ、「じゃあ資格取得の勉強はそれに含まないの?」という疑問も浮かびますよね。
資格を取得することで収入が上がったり仕事の幅が広がることでしょう。
これは「自分のやりたいことができるようになる」と言い換えられますよね。
資格の種類によっては転職や独立の際の武器になる可能性だってあります。
これも「自分のやりたいことができるようになる」と言い換えられますよね。
新型コロナウイルスが収束し、以前と同じ生活ができるようになればまた会議や移動で時間を取られ「いま」のように自由な時間を得るのは難しいでしょう。
だったらまた「いつか勉強しよう」と思いながらも放置してしまうはずです。
だから「いま」資格のために勉強することは意味があるように見えます。
ホリえもんは「資格」のための勉強は「資格」を取ったら終わりで意味がなくなるものと思っているようです。
まあ実際にそういう人もいますが、そうなることそれこそ資格の勉強はただの趣味であり、むしろホリえもんが主張する「自分のやりたいことのために時間を使う」に相当する気がします。
「好きなことだけで生きられるのに」への反論
好きなこと、得意なことだけを突き詰めて、ぜんぜん普通に食べていける社会なのに、なぜ資格なんかにこだわるの?
この一文で、ホリえもんは一般大衆のことを何一つ理解できない人なんだなとわかりますよね。
一般の人は好きなこと・得意な事があってもそれを突き詰めるだけの自信もないしリスクも取りたくないんです。
だから会社に所属してお給料を貰って生活しているんです。
ホリえもんや「億り人」養成ナンチャラといった人々はこういう普通の生き方を必死でバカにしますが、こういう生き方の人に支えられていることをどう思っているのでしょうね。
私自身、好きなことを得意なことにした上でそれだけで自分一人の食事代をギリギリ捻出できる生活を続けてはいますが、はっきりいって大変です。
私は会社員が向いていないからこちら側にいますが、もしコミュニケーション能力が人並みにあって毎日朝の通勤電車に乗ることに耐えられるのなら安定感溢れる会社員がいいです。
「好きなことだけで食べていく」というのは文章の上ではこの上なく楽しそうですが、それについてくる責任や雑務を考えると「結局サラリーマンのほうが気楽でいい」という人もたくさんいます。
「自分の生き方こそが至高、自分と異なる生き方は全てダサくて無意味」というホリえもんやその他「億り人」養成ナンチャラ系の有象無象は、子どもが自分の考え方を守りたくて必死に暴れている姿を思い起こさせますね。
「Zoom合コン」の推奨はさすがにキモい
Zoom合コンで若い女の子たちから教わる流行の方が、これからははるかにビジネスチャンスにつながるのだ。
「つながるのだ」じゃないです。
この文章をホリえもん自身が書いたのか、ホリえもん自身がZoom合コンをやりまくっているのかは知りませんが、50歳に届こうというおっさんが合コンの場に来たらさすがに迷惑です。
なんで話が合わない付き合う対象にもなり得ない自分の倍近いおっさんのビジネスチャンスのために時間を割いてお話して差し上げなければならないんでしょうか。
ホリえもん自身はまだ有名人なのでキャーキャーいう子がいるかもしれません。
でもこの文章を真に受けたおっさんどもが「若い女子との合コンの大義名分を得た」とばかりにネットで暴れまわったらどうするんですか。
Zoom合コンはおっさんのためのキャバクラではありません。
最後に
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、余った時間を資格取得に向けた勉強に充てている人は多いはず。
私は「意味のある資格」であればその勉強は意味があると思います。
もちろん「なんかよくわからないけどITパスポートが簡単そうだから取ろう」とか「何に使うかわからないけどとりあえず簿記3級でも取るか」はやめたほうがいいです。
何のために取るか、取ったらそれが何になるのかはスタートする前に自問自答すべきです。
個人的には「その資格を所持していれば手当が貰える」は十分勉強する理由になると思います。
ホリえもんはだいぶ偏った主張を繰り返していますが、どうやら前提の部分が我々庶民とは異なっているようです。
異なっていることそのものは透けて見えるものの、明示されていないのでよくわかりません。
昔からそうですが彼は「自分がよければそれでOK」という考え方が外に溢れてしまっているようで、今回の「Zoom合コンがビジネスチャンスにつながるのだ」というのも相手の女の子の気持ちを一切考えていない独りよがりな発想に見えました。
どうか、合コンに「ホリえもんに影響を受けたおじさん」が溢れかえりませんように。
50代前後のおじさんが「ビジネスチャンスを求めている」を言い訳にギラついた目で別のチャンスを伺いに来ませんように。