2018年版下町ロケットの前半の山場である
ギアゴースト社が訴えられた特許侵害の
裁判。
この訴訟には隠された裏事情があります。
結末もすごいですが、さらに裁判の後に
モヤっとしたことが起こります。
ネタバレだらけの記事となりますので
お気をつけください。
目次
ギアゴースト 訴訟概要
今回の裁判はギアゴースト社の製品に対し
株式会社ケーマシナリーが特許侵害を
訴えたものです。
ギアゴーストの主力製品である
トランスミッション「T2」の構成部品
である副変速機がケーマシナリーの
取得する特許を侵害しているとされて
います。
和解金の提示額
特許侵害による損失や得られたはずの
ライセンス料の合計はなんと15億円。
ギアゴースト社は最近力をつけてきた
会社とはいえ、15億も払ってしまえば
倒産してしまいます。
どうやらケーマシナリーはお金そのもの
ではなく、最近伸びてきている新興勢力の
ギアゴーストを若いうちに摘み取って
おこうとしているようです。
関わっている弁護士たち
ギアゴースト側
ギアゴーストの顧問弁護士は末長孝明です。
ギアゴーストの伊丹大と島津裕はこの
弁護士を信頼していますが、最初から
「この裁判に勝ち目がない」と言い
対抗策を講じずほとんど相手の言いなりに
なってしまいます。
ケーマシナリー側
2015年版下町ロケットでは佃製作所と
争ったあの嫌味な弁護士中川京一が
メインの弁護士を務めます。
そしてサポートとして青山賢吾という
若手の弁護士も同席しています。
中川京一は前回のナカシマ工業のときと
同様、今回はギアゴーストを大手の力で
潰そうとたくらんでいます。
頼れる助っ人
佃製作所の頼れる天才弁護士、神谷修一が
ギアゴースト側に助っ人します。
神谷弁護士のキャッチフレーズは
勝率8割、残りの2割は勝ちに等しい和解
です。
「勝てない裁判はしない」が口癖の
神谷弁護士が今回の敗訴濃厚のギアゴーストに
どう対応していくのでしょうか・・・
ネタバレ 裏事情
ここからネタバレが大量に含まれます。
お気をつけください。
まず、実はこの訴訟は仕組まれたものです。
というのも、ケーマシナリー側の中川京一と
ギアゴースト側の末長孝明は旧知の仲で、
ギアゴーストがT2を開発する前に中川京一
から末長孝明に情報提供を求められていた
のです。
T2の設計図をケーマシナリー側に横流し
したことでケーマシナリー側は直前に特許を
申請することが可能となりました。
なぜ特許侵害に気がつかなかったのか
ここからは複雑な特許の事情となりますが、
特許は成立するまでに「クレーム補正」と
呼ばれる変更が可能なんです。
今回のケーマシナリーの特許はそれにより
権利範囲を拡大しており、T2開発時に
特許を侵害していないかのチェックで
漏れたわけです。
情報提供の見返り
末長孝明はこのT2開発図の横流しの
結果、3億円もの大金を手にする密約が
されています。
事前に1億円受け取っており、残りは
裁判が無事にケーマシナリー側勝利で
終わったら支払われる約束となって
います。
佃製作所と神谷弁護士
ギアゴースト社は末長孝明により
裁判には勝てず身売りするしかないと
言われ、さまざまな会社に助けを
求めます。
その中で佃製作所にも出資を要請に行って
います。
佃社長はただそれを受け入れるのでは
なく、なんとか助けたいと顧問弁護士である
神谷修一に相談します。
神谷弁護士はすぐにギアゴースト社の
顧問弁護士の行動を不審に思いはじめ
いくつかの策を佃社長に進言。
そのうちの一つ、クロスライセンス契約を
狙うという策では佃製作所のたくさんの
社員がギアゴーストのために調査しています。
神谷弁護士は最終的に末長孝明の背信を
確信し、ギアゴーストの弁護を買って出る
ことになります。
裁判の結果
神谷弁護士が弁護を請け負った以上、
ギアゴーストに負けはありません。
結果はギアゴースト社の圧勝です。
というのも、ギアゴースト社の顧問弁護士
末長孝明を解任した際に島津裕が一芝居
うった結果、末長孝明と中川京一の
決定的なやりとりをテープレコーダーに
収録することに成功していたのです。
これには二人が懇意であることのみならず
今回の訴訟の裏事情である情報提供や
その見返りの報酬などが語られていました。
これにより裁判はあっという間に終わり、
中川京一は不正競争法防止法違反の疑いで
逮捕されています。
敗訴濃厚となっていた裁判を一瞬で
ひっくり返した神谷弁護士。
このシーンは原作小説版でもとても
爽快な場面ですがぜひドラマで映像として
みたい場面です。
その後 胸糞悪い展開へ
さて、佃製作所の手助けや神谷弁護士の
おかげでギアゴースト社は勝訴を勝ち取った
わけですが、佃製作所にはそのこと事態に
特にメリットはありませんでした。
その後の取引で懇意にしてもらうことを
期待してのものです。
しかし、ギアゴーストはなんとライバル社
であるダイダロス社と業務提携を結ぶ
ことを決定します。
これは社長・伊丹大の独断で、共同経営者
でもあった副社長・島津裕はこれに反対し
ギアゴーストを退社しています。
佃製作所はあてにしていた今後の取引が
白紙となっています。
無償で手伝ったのにこの仕打ちはあまりにも
胸糞の悪い展開ですよね。
なお2018年版下町ロケット後編では
伊丹大のギアゴーストは佃製作所と帝国重工の
無人農耕トラクターのライバルとなります。
最後に
2018年版下町ロケットの前半のメイン
となるギアゴーストの特許侵害訴訟。
裁判は敗訴濃厚とされていましたが
それは仕組まれた訴訟だったためです。
その企みを見抜いた神谷弁護士によって
中川京一ひきいるケーマシナリーは
敗訴。
中川京一自身も弁護士免許を剥奪された
上に逮捕されています。
ここまではスカっとする爽快な話なのですが
その後のギアゴースト社の動向が・・・
ちなみに原作小説ではこの部分までが
「ゴースト編」で続編の「ヤタガラス編」
へと続きます。
続きが気になってしょうがなくなります。
私はヤタガラス編が出版されてから
ゴースト編を読み出したのでよかったの
ですが、ゴースト編を出版直後に読んだ
方はモヤモヤして大変だったことでしょう(笑)