絵を描き始めた人が必ずぶつかる壁の一つ「模写はできるけどオリジナル構図の絵が描けない」問題。
私も長いことこの壁に悩んでいます。
この問題には、少なくとも二つの原因がありますよね。
それぞれ解決方法が違うので的外れな練習をしていると成長が遅くなります。
なぜ模写ならできる?
絵を描く練習を始めると、模写は意外に簡単にできるようになります。
模写ができているのは、正解を見ながら描いているからです。
どこにどのパーツがあるかわかっているから描けるんです。
補足事項
「模写は簡単」というのは誰でも最初から描けるという意味ではありません。
ちなみに私は板タブを買ってから1年はかかりました。
※この1年間は毎日絵を描いていたわけではないので合計時間はおそらく100時間程度だと思います
オリジナル構図が描けるようになるまでの難度と比べたら簡単という意味です。
オリジナル構図が描けない2つの原因
オリジナル構図と模写の違いはお手本の絵が存在するかどうかですよね。
ということで、オリジナル構図が描けない原因は以下の2つが大きいです。
1.線を引く場所がわかっていない
2.魅力的な絵にならない
です。
細かく説明します。
線を引く場所がわかっていない
キャラクターを描くなら体の構造をある程度把握している必要があります。
もちろん全ての骨・筋肉などの名称を暗記する必要はありませんが、キャラクターの外見の膨らんでいる部分や凹んでいる部分などがどこなのかを知っておかなければどこが正解の線かわかりません。
この段階の人は、人体構造の勉強(解剖学など)を(ざっくりと)勉強したり、魅力的な絵を模写しながら「今描いている部分はなぜこの形なのか」を考える練習が必要です。
魅力的な絵にならない
人体構造をわかっており姿勢(ポーズ)が現実的(関節がありえない角度/曲がってはいけない場所が曲がっている/各パーツの比率がおかしいといったことが解消できている状態)であったとしても、それだけでは魅力的なオリジナル絵にはなりません。
この段階の人は、人体構造の勉強は減らして大丈夫です。
※ゼロにしていいわけではありません。人体構造はとても奥が深いのでどんなに上達しても終わりは見えません。空手家の「拳の握り方がわからない」と同じです
ポージングの勉強をしていきましょう。
すでに過去の偉人たちが体系立てて「どういう構図が魅力的に感じられるか」を研究してくれています。
また、それらの基礎知識を得た上で「自分が描きたいジャンルの絵」をたくさん集めて「どういう構図なら自分の琴線に触れるのか」を研究しましょう。
私は感覚より理論が先行するタイプなので、憧れの絵を文章にしていきました。
文章を書くのが苦手であっても他人に見せるわけではないので好きに思ったことを書きましょう。
「魅力的な構図」の知識と「自分が魅力的だと思う絵」のポイントを併せた構図で絵を描く練習をすれば成長していくことができます。
できるだけ具体的に「どこが魅力的か」を文章化するべきですが、最初の頃は「文章を書きなれていない」「絵の分析に慣れていない」などの理由により、細かく具体的に文章にできません。
でも最初はそれでいいんです。
「顔がいい」「表情がいい」「目がいい」などと徐々に細分化できるようになっていきます。
さらにオススメなのが、その文章化した「魅力」を自分のオリジナルイラストに反映させ、自分の描いた絵を分析してみることです。
魅力的だと思った憧れの絵と比べ、なにがマズいのか。
「顔がいい」を表現しようとしたはずがそうならなかったのはどこが問題か。
絵というのは情報量がとにかく多く、全体を見ていると「なんかダメ」となってしまうことが多いです。
そのため、自分の好きな憧れの絵をベースに「魅力的な部分」だけを抽出することで学ぶべき・練習すべきポイントを絞りましょう。
当然ながら、一部だけで絵の道は終わりません。
一部(たとえば顔)が上手く描けるようになったら、その顔だけが上手い自分の絵と憧れの絵を見比べ、魅力が足りていない部分を探しましょう。
そしてそれを文章化し、その文章を基に新しい絵を描いていきます。
気付いているかとは思いますが、これを「改善」と呼びます。
「PDCAサイクル」という単語を聞いたことがある方もいるでしょう。
アレをイラストというジャンルでやっているだけです。
「サイクル」なので、当然ながら1回や2回絵を描いただけで神絵師にはなれません。
長い時間がかかります。
特に憧れの絵と自分の絵を見比べるのはメンタルが削られます。
しんどい時は何も考えず好きなように絵を描いたり、少しだけ筆を置いて息抜きをしましょう。
最後に
模写絵師からオリジナル絵師になるには最低でも「人体構造」「魅力的なポージング」という2つの知識を使いこなすことが必要です。
人体構造を把握していない人が魅力的なポージングの勉強をしても、いわゆる「関節が折れた奇形キャラ」になってしまうでしょう。
人体構造を把握していても魅力的なポージングの知識がなければ「不自然ではないけど誰の心も動かさない絵」になってしまうでしょう。
自分にどちらが足りていないのかを把握し、足りていない知識を重点的に学びましょう。
なお、知識は勉強しただけでは実際のイラストには反映されません。
学んだことを試して、うまくいかない点をまた勉強して、その勉強したことをまた試して、、、という繰り返しです。
ですので模写絵師からオリジナル絵師になるまでにはとてもとても長い時間がかかります。
プロとして活躍している人でも「自分はまだまだだ」と言いながら勉強を繰り返している人がほとんどです。
すぐにできなくても「自分には才能がない」なんて言わず、苦しくなり過ぎない程度に続けていきましょう。