同人活動というのは、会社に所属せずに絵を描いたり音楽を作ったりして販売(頒布)することです。
今の時代でもやはり最大のイベントがコミケであることは間違いありませんし、趣味の延長という人がほとんどだとは思います。
そんな中、DL販売の土台が整ったことで「同人活動で儲けよう」という人たちが増えてきました。
※否定しているわけではありません。私もその一人ですし
ただ、大半の人は「俺、同人活動で天下取るっす!」と意気込んでスタートするものの一作目を完成させられずに消えていきます。
定期的に作品を出せるようになった私から、スタートしようと思っている人・一作目を出せずにいる人にアドバイスがあります。
上から目線だと思って嫌がらずにちょっとだけお付き合いください。
目次
大前提
当ブログで同人活動ネタを話す際に毎回言わせていただいていることがあります。
同人活動でお金を稼ぎたいのなら、「一次創作」であることが絶対条件です。
二次創作、つまり既存の漫画やアニメなどのキャラクターを使った作品は、本来は著作権法違反です。
※著作権を持っている側が許可を出している場合は除きますが、過激なファンが「解釈違いです」と怒ってくるので許可が出ている作品も避けた方が無難です
親告罪ということで実際には作者が言ってこなければセーフではありますが、それであっても大手を振って「これはセーフ!!」と喧伝していいことではありません。
特に「これでお金を稼ぎたい」と考えている人は、二次創作はダメです。
作者が言わなくても、その作品のファンや「同人活動で楽しそうにしながらお金を稼ぐことをよしとしない人」が騒ぐ可能性があります。
その騒ぎが大きくなれば、作者も黙っているわけにはいかなくなります。
また、炎上すれば「人格を否定するような行き過ぎた批判」が大量に来ますし、「作家の本名などプライベートを調べ上げて晒す」という嫌がらせを受けることもあります。
ということで、同人活動で稼ぎたいのなら一次創作にしましょう。
一作目に全力は注ぐな!
あなたがpixivやTwitterなどで大量のファンを抱えているのでなければ、一作目に全力を注ぐのは悪手中の悪手です。
全力を注がないでください。
5割程度の力でいいので、とりあえず駄作を完成させて販売してしまいましょう。
ええ、もちろんそれではたくさん売れません。
売れませんとも。
一作目から100DLとか夢を見るな
一作目から爆発的な売り上げは見込めません。
それは、サークルの知名度がないからです。
知名度がないので、どんな名作を作っても各プラットフォームでの「新着作品」くらいでしかお客さんの目に留まりません。
だから作品の質以前に「存在を知ってもらえない」という理由で売れないんです。
なのに初心者同人作家は質を極限まで高めようとして、完成時期をズラしてしまいます。
作品が完成しなければ当然売上は0円、販売数も0のままです。
一作目には作品制作以外の苦労がある
あなたが過去に別のサークルに参加していたという場合を除き、自分で同人作品を作ってそれを各プラットフォームで販売するという作業は「ほぼすべての工程が初めての作業」になります。
初めての作業はわからないことがたくさんあり、予期せぬ問題も発生します。
人は「知らない事」に遭遇すると精神力・モチベーションをたくさん消費します。
だからDL同人一作目は作品そのものの制作とは別の作業の苦労があるんです。
初作業という苦労をしながら同人作業をするのは大変です。
ただでさえ「同人誌を一誌作り上げる」のは大変なのに、別の面倒な事が付随したら作業は遅れます。
だから一作目はプロトタイプとして力を抜いて作品を作り、「一通りの作業を試してみる」という程度の気持ちでやるのがオススメです。
一度でもやってしまえば作業の流れはわかるので、二作目以降は販売に関する作業へのストレスは激減します。
なお、一回やれば「次からは何も調べずにできる」という意味ではありません。
学校のテストではないので調べながらやっていいんです。
調べながらやるのであっても初回は「本当にこれであってるのかな?」という不安があります。
登録して半日過ぎてもサイトに反映されない状況が続いたら「何か間違えたんじゃないか」と不安になり創作活動どころじゃなくなるでしょう。
二回目以降は調べる際に「そうそう、こうだったな」と確認するだけで済みます。
すぐにサイトに反映されなくても「そうそう、ここは時間がかかるんだったな」と心を落ち着かせることができます。
また、一度目に調べたサイトなどをブックマークしておけば「あのときどうしたんだっけ」という不安も解消しやすいでしょう。
「ゴミ作品を出したらそういうサークルだと思われるんじゃ・・・」
初心者同人作家にありがちなのが「クソみたいな作品を出したらブラックリストに入れられるんじゃ」という不安を持つことです。
はっきり言いますが、客はそこまでハズレ作品のサークルを覚えていません。
だってもともと同人作品はDLだろうとコミケだろうとゴミだらけなんですから。
※敢えてゴミだのクソだのと言う言葉を使っていますが、一度でも作り手になったことがあるのならその「ゴミに見える作品」にも作家の想いが入っていることには気付くはずです。ここでは理解しやすいようにゴミという単語を使っていますが、バカにする意図はありません
実際にコミケに足を運んでいる方はわかると思いますが、壁サークルなどのセミプロは別として島中のような十把一絡げの席のサークルにはラクガキのような同人誌やコンビニで白黒コピーしたものをホッチキスで止めたようなものを売っている(頒布している)サークルもたくさんあります。
もちろん同人作品は趣味で制作しているものなのでラクガキだろうとページが少なかろうと好きにしたらいいんです。
あなたは自分がコミケでみかけた「ゴミ作品のサークル」を覚えていますか?
DLsiteなどで「下手くそだな」と思ったサークルを覚えていますか?
そのサークルの今の活動内容を知っていますか?
面白そうな作品を目撃した際、サークル名を見て「あのゴミ作品のサークルだからやめるか」と判断しますか?
下手な絵・完成度の低い作品を販売してもその後の同人活動に致命的なダメージはありません。
DL販売では新作のページからそのサークルの過去作品を辿れてしまうため、一作目が大失敗して二作目との差が大きいと思うのであれば一作目を販売停止にすればいいです。
ただ、個人的には「過去の下手な絵の作品が並んでいる場合、その上達ぶりを評価してくれるお客さん」のほうが多い気がします。
※これは完全に私の個人的な意見なので正解かどうかはわかりません
詐欺販売だけはやめよう
客はハズレ作品を覚えていないとは言いましたが、詐欺的な販売をした場合は別です。
トレス作品は無名サークルでも炎上する可能性があります。
そしてパッケージ詐欺もかなり悪質です。
もちろんパッケージは作品の顔なので各サークルが全力を注いで制作します。
ここで言うパッケージ詐欺というのは「パッケージだけ外注絵を使い、本編にはその作家の絵が存在しない」などを指しています。
それをそのパッケージに明記していればまだいいですが、私が購入した作品の中には購入後にしか見ることのできない作品内のクレジットに「表紙・〇〇」とだけ書かれているものや、そもそもどこを探しても誰がパッケージを描いたのか書かれていないものもありました。
がっかりしますのでやめてください。
また、ページ数の詐欺もダメです。
※現在は一部の販売サイトではスタッフによるチェックがあり「CG枚数が違いますけどこのまま販売をスタートさせても大丈夫ですか?」と連絡をくれるようになりました
CG集やゲームの場合、基本絵と差分と総CG数(基本絵と差分の合計数)は購入側にとって一つの指針になります。
それが書かれていなかったり明確でないのなら、「作家買い」以外の客は不安になります。
最後に
DL同人作家を始めようと思っている方。
とりあえず、一作目を出しましょう。
ありがたいことに、DL販売はあなた自身の顔も名前も誰にもバレません。
だから大失敗してもリアル生活にはほぼ影響がありません。
大失敗して立ち直れないと思ったらサークル名を変えて再出発することすら可能です。
※当然ですが悪用は厳禁です。トレスやパッケージ詐欺を繰り返して炎上したらサークルを作り直すといった「人として間違ったこと」はやめてください
一作目はプロトタイプとして全力を出さずに「作品を販売サイトに置くこと」を最大の目標にしてください。
一作目を出す労力と二作目を出す労力は違います。
作品の全力を注ぐのは販売のやり方がわかった二回目からで大丈夫です。
頑張ってください。
最後にもう一つ。
誰もがみんな、最初は初心者です。
絵も下手でしょうし、ゲームならプログラミングも稚拙でバグも多いかもしれませんし、そもそも内容が薄いことだってあるでしょう。
気にしないでください。(できれば画力やボリューム、ゲームシステムは買う前に販売ページでわかるようにサンプルや体験版を出してから販売してください)
同人作品は発表を繰り返すことで大きく技術が上がります。
今がイマイチでも、成長中だと自分に言い聞かせて続けてください。
きっと1年後、数作出したら驚くほどレベルが上がるはずです。
私自身もDL同人作品を作っている側ですが、あなたが参戦することによりライバルが増えて私の作品が埋もれてしまうという不安より、多くの人が参加することで界隈が盛り上がることの方がうれしいです。
怖がらず進んでください。
ぜひ楽しい同人活動を!