デジタルイラストを描き始めたみなさんこんにちは。
プロのようなイラストを描いてみたいと意気揚々とペンタブ(板タブ)や液タブを買ってみたものの、まっすぐの線ですらきれいに描けずに驚かれていることでしょう。
私もそうでした。
初心者向けの解決方法、あります。
なお、当記事はclipstudio利用者へ向けた説明となっています。
他のツールでは名称が違うかもしれませんのでご了承ください。
安心してください、あなたのガタガタの線は正常です
まっすぐな線が引けないだけで「才能がないのでは」と不安になってしまう人もいるかもしれません。
大丈夫です。
あなたは正常です。
ほとんどの人が練習なしではまっすぐな線は引けません。
まっすぐな線を描けないことと「絵の才能の有無」は全く関係がありません。
昔「はじめの一歩」で一歩くんがパンチドランカーを疑われた際に会長に定規無しでまっすぐな線を引けと言われていましたね。
ですが、絵を描いたことがない人がフリーハンドできれいな線を引くのはとても難しいです。
あの時一歩くんはゆっくりと直線を引いていましたが、アレが最初からできない人は多いはずです。
私は今でも以下で説明する方法を使わなければゆっくりと直線を引くことはできません。
プロの方でもできない人がいます。
だから大丈夫です。
ここだけは飛ばさず読んでください
「能書きはいいからやり方を早く教えろよ」と思っている方にどうしても知っていただきたいことがあります。
それは「〇〇をすれば確実に今この瞬間からきれいな線が描ける」という方法は存在しないということです。
知識を得たらそれを使いこなせるように練習が必要です。
イラストを描くという趣味の世界にはたくさんの壁・難所があります。
優秀なあなたはそのたびに「どうやればいいか」を調べることでしょう。
ブログもYouTubeも、そして商業の書籍ですらも、「〇〇さえやれば完璧!」「〇〇をしないやつはバカ」と煽りに煽ったタイトルで方法を紹介しています。
しかしその全ての情報は「読んだだけ」「視聴しただけ」では身につきません。
繰り返しますが、知識を得た後には絶対に練習が必要です。
どうか「言われた通りに1回やってみたけどできないじゃないか。こいつは詐欺だ」なんて思わないでください。
あなたと私が憧れている神絵師たちも最初はできずに試行錯誤しながら上達しました。
しかも神絵師たちは間違いなく初心者であるあなたよりもたくさん練習してきましたし、何なら今月1か月の絵を描いた時間だって神絵師の方が長い可能性が高いです。
「練習はしたくない。でも神絵師と同じレベルの絵をサラっと短時間で描きたい」というのはもはや神絵師への侮辱に近い発言です。
練習をしましょう。
なお、練習は苦行ではありません。
楽しく絵を描きましょう。
線がガタガタの理由
ここから本題です。
「線がガタガタ」という状況はいくつかに分類できます。
あなたが改善したいガタガタはどれでしょうか。
1.波打つ
2.曲がる・水平に描きたいのに斜めになる
3.太さが一定じゃない
どうでしょうか。
一つずつ解決策を提案していきます。
波打つ線
直線を描きたいのにうねうねしてしまうこと、ありますよね。
「デジタルであればこそ」の解決策は「手ブレ補正」です。
手ブレ補正はその名の通り、手の細かい揺れを吸収してくれる機能です。
最適値は人によりますが、私は15にしています。
なお、当記事にはいくつもの数値が出てきますが、「絶対にコレ」「コレに設定したら二度と変更してはいけない」ということではありません。
あなたの最適値はあなたが何度も試して見つけてください。
また、成長に従って最適値は変化します。
私は初心者だった頃は手振れ補正値を30にしていましたが、現在は15です。
コロコロ変えてしまうといつまでも慣れることができないので、1か月から半年程度を目途に見直してみるのがいいかと思います。
設定は簡単です。
クリスタの左側に表示されている「ツールプロパティ」にある「手ブレ補正」を変化させるだけです。
なお画面サイズによっては見えない時があるのでスライドバーでスクロールさせてください。
変化させるには、(A)メーターをドラッグしてスクロールさせるか(B)数字をクリックして数値を入力する方法があります。
また、手ブレ補正が表示されていない場合は(C)スパナマークをタップしてください。
以下の画面が表示されます。
「サブツール詳細」が表示されるので、補正をクリックします。
(A)メーターをドラッグしてスクロールさせるか(B)数字をクリックして数値を入力します。
なお、頻繁に変化させたい方は(C)の長方形をクリックして目玉マークを出せば「ツールプロパティ」に表示されるようになります。
曲がる
水平に描きたいと思っても、右利きの方は右下がり、左利きの方は左下がりになる傾向があります。
これは腕の構造に起因するもので、ひじを動かさずに描くと「ひじを支点としたコンパス」のようになってしまうためです。
プロの方の中には「ひじを浮かせて腕全体で描く」というのが正解だとしている方がいます。
これを文字通り捉えてひじを机に触れないようにして絵を描き続けるとると体を壊します。
神絵師の作画風景を見るとわかりますが、ほとんどの人は実際には完全に浮かせているわけではなく、ひじを固定せずにスライドして描いています。
真横に線を引く場合、手の動く距離とひじの動く距離をできるだけ同じになるように意識すると曲がりにくくなります。
また、板タブユーザーの中にはショートカットを使うためキーボードを置いている方もいるでしょう。
板タブがもし体に対して極端に右側(左利きなら左側)にあるのであれば、正面に置いてみてください。
文字を書くときも同じですが、描く(書く)対象が正面にないと傾きやすいです。
なお、真正面よりは多少右(利き手側)のほうが描きやすいかもしれません。
そのあたりは色々試して微調整してください。
太さが一定じゃない
線画は「光が当たっている部分は細く、影の当たっている部分は太く」「交差している部分は太く」などと言われますよね。
初心者には至難の業です。
それどころか、机や窓枠など無機物を書いている際にも線が一定にならず素人っぽさが出てしまうことがあります。
これは筆圧を一定にできないことで起きる問題です。
この解決方法は「ブラシサイズ」です。
知り合いのプロ・セミプロ・同人作家に聞いて回ったところ、線画時点でのペンのサイズは10から20などが多いようです。
ですが、筆圧を自在にコントロールできない我々がその太さで描くと上述のように一定の太さになりません。
初心者は「3」または「5」にしましょう。
この程度であれば、筆圧で変わる太さも調整しやすいです。
このブラシサイズでもなお線の太さが気になるようであれば、それはキャンパスサイズに問題があります。
たとえばTwitterやpixivに掲載予定のイラストであっても、一辺が2000px以上のサイズで描くのがオススメです。
ブラシサイズを小さくする方法は初心者向けの対処方法です。
筆圧調整に慣れてきたら太さを変えて描けるように練習してみましょう。
まとめ
線画がガタガタしている場合、
1.波打つ・・・手ブレ補正
2.曲がる・・・ひじを手と同じだけ動かす、板タブを中央に寄せる
3.太さが一定じゃない・・・ブラシサイズを3または5にする
という方法で解決できるはずです。
私は1と2は書籍を読んで気付きましたが、3については教えてくれる人がいませんでした。
ブラシサイズは3、キャンパスサイズは一辺2000px以上で試してみてください。
それでも拡大すれば太さが一定ではない部分ができてきますが、全体を表示させた状態であれば気にならないはずです。
私はデフォルトのサイズは3、キャンパスはA4サイズ4093×2894にしています。
※もちろん描くものによって縦長・横長の変更をします
まっすぐにきれいな線が描けないことと才能の有無は関係ありません。
初心者で練習していない段階から描ける人が特別にすごいだけで、描けないほうが普通です。
ゆっくりあせらず、絵を描くことの楽しさを失わないように行きましょう。
特に「今すぐにプロにならなくてはならない人」以外の趣味で描き始めた人は「楽しそうだから」という最初の目的を絶対に見失わないでください。
絵に限った話ではありませんが、描く技術(提供する側の技術)より見る技術(受け取る側の技術)のほうが先に上達します。
そのため、見る技術が先行して上達すると自分の絵が下手に見える瞬間があります。
※とてもよくありますし、周囲から神絵師と言われる人の多くも感じることです
これは「ダメな部分(=修正すべき部分・改善すべき部分・練習すべき部分)を発見できるようになった」というだけであり、「自分に才能がないことに気付いた」ということではありません。
ゆっくり楽しみながら成長していきましょう。
注意
イラストの描き方に「唯一無二の正解」は存在しません。
結果的に「描きたい絵が描ける」のであればどんな手順でも正解です。
最近はYouTubeやブログでイラスト講座を公開している方も多いですが、彼ら彼女らは「絶対こうすべき」「こうしないやつはバカ」のような強い表現を使いがちです。
彼ら彼女らがどれだけイラストが上手くても、そしてどれだけ実績があっても、妄信しすぎるのはよくありません。
当記事もあくまで「こうしたらできるかも」という提案をしているのであり、「絶対にこうしろ」とは言っていません。
我々は子どもの頃に「正解は一つだけ」「間違いは悪」という教育を受けてしまっていますが、イラストにおいては「100人いれば100通りの正解」が存在します。
「自分にあった描き方」を見つけてください。
ただし、いくつかの技法には「慣れ」が必要です。
基本の「手ブレ補正」ですら、使い慣れていない人には気持ち悪いでしょう。
「絵を描くことを嫌いにならない程度」の練習は必要です。
いつも楽しそうにバズりまくる絵を描いている神絵師であっても、我々の想像を超えるすさまじい時間をイラストに捧げており、さらに現時点でも初心者とは比べ物にならないくらい練習・実践をしています。
それを忘れないでください。