「風立ちぬ」の中盤、二郎が特高にマークされ、一時身を隠しながら仕事をすることになりました。
劇中で詳しい説明がなかったので、当時の時代背景を知らなかったり元ネタを知らなかったりすると意味が分かりませんよね。
ジブリ映画は特に小さな子どもも見る作品です。
子どもに理解するのはちょっと難しそうですね。
特高とは
特別高等警察の略で、いわゆる「日本の秘密警察」です。
「危険思想の取締り」が主な目的となっており、社会主義や共産主義に傾倒している人を捕まえる組織でした。
「風立ちぬ」の時代は戦時中ということもあり、反戦・反政府的な態度に目を光らせており、それが過剰になり言い掛かりに近い形で次々と無実の人たちが捕まる状態になっていました。
二郎のスパイ容疑 原因は軽井沢のドイツ人
二郎が特高に目を付けられたのは、菜穂子と再開した軽井沢の宿での出来事が原因です。
あの宿で二郎はカストルプというドイツ人と出会っています。
菜穂子に充てた恋文には
あなたに合いたくて会いたくてたまりません
あのカストルプ氏がなぜ追われているのでしょう
と書いています。
ドイツ人・カストルプ
カストルプは「ユンカース博士は破裂する」、さらにドイツのヒットラーに対し「ならず者の集まりです」、さらには当時の日本の行動を次々と否定し「世界を敵にする、忘れる」「日本、破裂する」などと口にしています。
カストルプのモデル
このカストルプのモデルはリヒャルト・ゾルゲだと言われています。
※公式発表ではありません
ゾルゲはソ連のスパイで、実際に軽井沢を訪れたこともあるようです。
カストルプのその後については描かれていませんが、ゾルゲは1941年に逮捕され1944年に死刑が執行されました。
最後に
「風立ちぬ」で二郎にスパイ容疑がかけられた原因は、軽井沢で出会ったドイツ人・カストルプとの関係を疑われたからでした。
カストルプの元ネタがリヒャルト・ゾルゲであるというのはあくまで外部の予想にすぎずジブリ側の公式発表ではありませんが、カストルプ自身が特高に追われていることは作中で匂わされています。
二郎自身は一方的に不穏な言葉をささやかれただけで反政府の思想はありませんが、当時は特高に捕まると反論の機会もほぼない状況でした。
今では考えられない思想弾圧かつ人権無視な話ですが、戦時中ということもあり世界中がパニックになっていたと考えるべきでしょう。
念のため最後に言っておきますが、当記事は反政府記事でも戦争称賛記事でも戦争美化記事でもありません。
全ての内容はジブリ映画「風立ちぬ」に関するものであり、「風立ちぬ」は主人公・二郎など現実の人物をモデルにしているもののあくまでフィクションです。
フィクションと現実を混同しないようにしたいですね。