テレビ朝日「アリバイ崩し承ります」の第1話の原作小説でのあらすじや真相をネタバレします。
私は原作のエピソードで一番この話が納得しがたいものでした。
このエピソードは、偶然に偶然が重なってアリバイが出来上がっています。
そのこと自体はいいのですが、美谷時乃が事前に明かされていない情報をピンポイントで当てており、小説の後書きでも「魔法のようだ」と書かれています。
解説者は称賛の意味で書いているようですが、私は事前に明かされていない情報を正確に当てる安楽椅子探偵は少し苦手です。
※エピソードに対する評価はあくまで私の個人的な感想です
目次
あらすじ 推理作家が事件を起こした!?
奥山新一郎は推理作家です。
車に轢かれてしまいますが、偶然近くにいた察時美幸たちに「人を殺した」ととんでもないことを呟いて意識を失います。
実際、このときに奥山が口にしたマンションへ行ってみると女性の遺体が発見されました。
しかし、検視官によると女性が亡くなったのは1時間以内。
そして奥山新一郎にはアリバイが存在しました。
奥山新一郎に犯行が可能なのは40分間のみ。
ですが車を使っても現場までは20分かかります。
真相
奥山の告白は「勘違い」です。
奥山は確かに女性と喧嘩をした上で相手を昏倒させていますが、実はその時点では一瞬意識を失っただけで生きていました。
二人がもみ合いになったのは奥山のマンションで、回復した女性は自力で自宅マンションへ戻り、そこで別の真犯人に殺害されています。
実は奥山新一郎は耳が聞こえなくなっており、普段は唇を読んで会話をしていました。
なので、事故のときに察時美幸から問われた内容の一部を聞き取れず、「女性をどこで殺したか?」の問いの直後に「その女性がどこに住んでいるか?」という1つ前の質問に答えたのです。
では真犯人は...?
真犯人は奥山新一郎ではありません。
では誰か?
なんと女性の住むマンションの管理人です。
奥山がその管理人に「あること」を依頼したことが間接的な原因です。
奥山はその女性と付き合っていたのですが、別の女性と付き合うため別れようとしていました。
管理人は奥山のファンだったため、事件以前に声をかけて親しくなっていました。
今回の事件では奥山が女性と別れるための弱みになるものを探してほしいという依頼をしていました。
管理人は突然帰ってきた女性にびっくりして首を絞めてしまったのです。
第1話にコレで大丈夫なのか...
私は原作のエピソードで最もこの話が受け入れがたく感じました。
真犯人が適当すぎる
まず、マンションの管理人が奥山のファンだという理由だけで女性の部屋に忍び込み弱みを握るという依頼を受けたこと。
ありえませんよね。
真犯人が奥山に何か弱みを握られていたのか、それともその得た弱みを使って自分もその女性に何かしようとしていたのかと邪推してしまいます。
さらに、突然帰ってきた女性に驚いて絞殺したという犯行そのものも信じがたいです。
たしかに、若い女性の一人暮らしの部屋にマンションの管理人が忍び込んでいたという事実は社会的な死を免れない事件です。
ですが、だからといって衝動的に相手を殺害するでしょうか。
だったらそもそも依頼を受けるはずがないのでは?という最初の疑問に戻ってしまいます。
奥山の動機も弱すぎる
奥山新一郎が管理人に依頼した理由は、相手と別れるためです。
人と別れるのに他人を巻き込んで「一人暮らしの若い女性の部屋に忍び込んで弱みを握る」なんてことがあるのでしょうか。
原作小説では殺害された女性の性格などは一切明かされておらず、別れ話がこじれていたということすら明かされていません。
読唇術が有能すぎる
奥山新一郎は7年前の交通事故で耳が聞こえなくなっていましたが、誰一人そのことに気付いていませんでした。
普段は補聴器を使っていなかったようで、仕事相手もそのことを知らず警察も事実を突き止めることができませんでした。
それを安楽椅子探偵の美谷時乃が話を聞いただけで当てています。
読唇術だけで日常生活が送れるとは思えません。
相手の口を常に見ていなければ「喋っているのかどうか」すら判別できないわけで、いくら小説家という他人とのかかわりが少ない仕事をしているとはいえ、無理があります。
最後に
テレビ朝日「アリバイ崩し承ります」の第1話の原作エピソードはかなり無理のある話に感じます。
そのまま原作通りに描いたら視聴者が離れてしまうのではないかと不安です。
第1話は継続を視聴するか判断する重要な回です。
原作ではこのエピソードは第3話です。
他のエピソードの中には、事前に全ての情報が提示されており、過不足ない状態で完璧な推理をしているという話もいくつもあります。
視聴者を惹きつけるためにはそういった王道なエピソードのほうがよかったような気がします。
原作はショートストーリー形式なのでそこまで深掘りできないので仕方がないのかもしれません。
ドラマ版ではそのあたりをきちんと描いて納得できるストーリーになっていてほしいですね。