日テレドラマ「35歳の少女」がえらくカオスな展開を見せています。
主人公の望美は10歳の時に交通事故で意識を失い、25年経って目覚めました。
10歳の頃に好きだった結人くんはイケメンになっており、当初は「おじさん」と認識していたものの内面の優しさに触れて好きになっていきました。
第5話では紆余曲折の末、二人は付き合うことに。
望美の母にそのことを報告に行った際、母親は「ならばどっちか選びなさい」と自分(母親)か結人(彼氏)かの選択を迫りました。
このクレイジーな究極の選択にネットがざわざわしています。
理不尽な二択
この二択はそもそも価値の違う比較対象にならない二択です。
「誤った二分法」「偽りのジレンマ」などと呼ばれるものです。
この二択は選択肢以外の選択を全て排除してしまう方法で、「母親と一緒に暮らしながら結人と付き合う」という選択肢が存在しないかのように錯覚してしまいます。
「あちらを選べばこちらは選べない」という類の選択ではないのでこの二択は間違っています。
結論が確定している二択
母親にとって、「まだ自立できない精神的に未熟な娘」に母親と彼氏の二択を迫ることは「母親を取るしかない」という結論が確定している二択だったことでしょう。
結果的には望美は結人を選び家を出て行きましたが、現実的に考えたら仕事を辞めたばかりの唯人に現代の常識すら知らない人を養うことなどできず、すぐに破綻するはずです。
母親は毒親?
毒親とは、「(子どもにとって)毒になる親」のことです。
ちなみに日本独自の言葉ではなく、アメリカの医療コンサルタントであるスーザン・フォワードが著書で表現した「toxic parents」が初出だそうです。
毒親は「子どもの人生を支配し害悪を及ぼす存在」と定義されています。
望美の部屋に監視カメラをつけたり、彼氏を作ることを反対するその姿は「支配しようとしている」と言って差し支えなさそうです。
本当に毒親か
毒親というのは学術用語ではないため、正確な定義や診断のためのテストなどは存在しません。
上記で「子どもの人生を支配し害悪を及ぼす存在」であるとしましたが、精神的に未熟な子ども相手にはある程度の強制力を持って人生をコントロールする必要があるでしょう。
このドラマでは、外見だけは35歳という大人になっている状況なので混乱しやすいですが、望美は精神的にはまだ10歳です。
母親が再三「騙されてしまいそう」と不安になっているように、子どもは危機管理・リスク管理ができません。
実際第5話で望美は結人と家を出て行きましたが、結人はこれまで断続的な代行業で生活費を稼いでおり安定した生活はできていませんでした。
しかも教師として採用が決まる前に代行業を辞めてしまっており、採用されるまで無収入ということになります。
この状態の男の下へアルバイトもできない女性が転がり込んだ時点で「リスク管理ができている」とは言い難いですよね。
母親の娘を支配するような言動は望美の今の状況を考えれば「最善手」ではないかもしれませんが全否定するような「悪手」でもない気がします。
最後に
ドラマ「35歳の少女」第5話では母親が望美に出した「理不尽な二択」でネットがざわざわしました。
視聴者の大半は(私も含め)母親を毒親と感じているようです。
ですが望美が精神的には10歳の子どもだということを考えれば、多少支配的な態度を取るのはわからなくもない気がします。
現実ではありえない設定なだけに「正解」は存在しない問題です。
各々が「自分だったらこうする」「こうなったらきっと幸せだろう」と考えながら楽しみましょう。
人と意見が違っても正解が存在するわけではないので「そういう人もいるのね」と受け流しましょう。