「外こもり」をご存知ですか?
正確な定義は存在しませんが、簡単に言えば「物価の安い海外で生活すること」です。
最近では世界中でネット回線が充実したためPC片手にノマド生活をしている人が多いです。
Twitterなどでは青い海をバックに美女たちに囲まれた遊び人たちが情報発信をしていますよね。
ブラック企業で日々心をすり減らしている人の中にはそんな生活をしてみたいと憧れる人もいるようです。
ですが、ちょっと待ってください。
キラキラした生活をツイートしている人たちは限られた一部の人による一部の姿です。
白鳥が水面下で必死にバタバタしているように、彼らの中にも実は自転車操業な人もいます。
目次
月10万円ではリッチな生活にはならない
どんな国であっても「月10万円でリッチな生活」は無理です。
外こもりといえばタイが有名ですよね。
私はこれまでウクライナやジョージアもオススメしてきました。
これらの国々は物価がとても安いです。
最低ランクの宿であれば、ドミトリーなら500円以下、個室でも1000円前後がゴロゴロしている国です。
ですが外こもりに憧れるような人がイメージする「オーシャンビュー」「サウナ付き」「プール付き」になるともうちょっと高いです。
どの国でも月5万円もあれば手に入るクラスの宿ではありますが、長期契約の必要がありますし日本と違って不動産屋が全て仲介してくれるわけではないので英語や日本語が不慣れなオーナー相手に契約書を交わす必要があります。
ついでに言うと、メイドさんを雇うのも決して安くはないです。
特に男性にとって魅力的な「若くてきれい」なメイドさんは週1で来てもらうと月額で2万円から3万円します。
※私が個人交渉した経験談inウクライナ
食費についても現地の労働者階級の人が食べる屋台や大衆食堂であれば300円しない安さですが、日本食は日本と同じかそれ以上の値段がしますし、おしゃれなレストランはちゃんとした値段がします。
そこからさらに趣味にお金を投じるのであれば、10万円程度ではまともに暮らせません。
彼らが計上していないお金
キラキラした情報発信者たちは意図的なのが無意識なのか、計上していない経費があります。
それは「趣味へのお金」「異性へのお金」「将来へのお金」です。
それぞれ見て行きましょう。
趣味へのお金
何を趣味にするかでかかるお金は全く異なりますが、キラキラした人たちは趣味にいくら使っているか公開していない人が多いですよね。
日本の電子書籍は日本にいるときと同じ値段がかかります。
日本のドラマやバラエティを見たい場合はTverという無料アプリがありますが、海外から接続するにはVPNが必要です。
無料VPNは不安定なので気持ちよく視聴したいなら有料のものが必須でしょう。
その他、例えば車やバイクを所有するのであれば相応の額が必要です。
キラキラした人たちがよく乗っているクルーザーやヨットなどのアクティビティもタダではありません。
お金のかからない趣味
私はイラストを描くのが趣味です。
イラストは紙とえんぴつがあれば描けます。
デジタルの場合でもPCと板タブ(とクリップスタジオ)があれば追加の費用はかかりません。
また、猫好きであれば外に散歩に行けばたくさんの猫ちゃんに会うこともできます。
「リッチな生活」とは言えませんが、幸せな生活は送れます。
日本でも同じことが言えますが、お金をかけない趣味を持てば外こもり生活を圧迫することにはなりません。
異性へのお金
誰もが口を閉ざす「異性へのお金」が人によっては一番かかります。
日本人はタイやウクライナでモテるというのはある意味では事実です。
ですがその実態は「お金」に寄ってきているだけです。
なぜ貧乏で言葉も満足に話せない、お金の支払いも渋い日本人がモテると勘違いしているのでしょうか。
日本人が世界中で人気なのは「誠実さ」「謙虚さ」だけでなく「お金持ち」という魅力があるからです。
特に物価の安い国ではその傾向が顕著です。
彼ら・彼女らは外こもりをしている日本人とソニーや任天堂、ホンダなどの大企業を同一視することはありません。
もちろん、ウクライナなどの東欧には日本人がほとんどいないので興味を持って近づいて来てくれる人はたくさんいます。
ですがそこから仲良くなれるかは「お金」「コミュニケーション能力」「外見」などの魅力は必須です。
「日本人ブランド」は「転校生」と似たようなもので、珍しいからとりあえずは寄ってきますがそれ単体でいつまでも魅力を放つものではありません。
特に自分の外見がイケてなくて、コミュニケーションもそれほど得意ではないという人は異性へのお金がかかることを忘れないでください。
実際の金額
私は自他ともに認めるブサイクで、ヒキコモリのコミュ障です。
そんな私が現地で10代20代のかわいい子と遊ぶには少なくとも「経費は全てコチラ持ち」です。
ウクライナであれば1回のデートで3000円くらいはかかります。
・・・あれ?やっぱり安いですね
毎日遊んで暮らすなら30日で9万円です。
体がもたないので実際に30日連続で遊ぶ人はいないと思いますが、月10万円の生活をするならば1回3000円はなかなかの出費です。
なお上記の額はある程度仲良くなった異性と健全な遊び方をした場合です。
知らない女性を自室へ呼びつけたり、浴びるようにお酒を飲んだり、複数の女性を連れまわそうとすればもっとかかります。
将来へのお金
忘れてはならないのが将来のお金です。
外こもりは会社員以上にいつ何が起きるかわかりません。
海外にいれば国民健康保険の加入義務はありませんが、海外旅行保険は何かあったときのことを考えれば必須です。
※クレジットカードに旅行保険がついてくるものもありますが、そのほとんどは3か月で切れてしまいます。
また、海外に在住しているなら年金の支払い義務はありませんが、払わないなら当然将来年金も受け取れません。
年金は破綻するリスクがあると言われていますが、それでもかなりの魅力的な投資先です。
たとえば40年外こもりをして、60歳から一切働かずに100歳まで生きるとしましょう。
高齢になっても海外に住むと考えたら月15万円くらいは見積りたいところです。
※体が動かなくなるためお手伝いさんや健康維持へのお金を含みます
年間で180万円、引退後40年暮らすならば7200万円の準備が必要です。
不労所得
ここで話題になるのが「自分が働かなくてもお金を産む」という不労所得です。
昔からあるもので言えば、株や不動産ですね。
ですがこれらで安定運用するにはそれ専用の知識が必要です。
昔と違い激動する今の時代で、自分の思考力が衰えた状態でノーメンテで毎年180万を産む資産を手に入れるにはいくら必要なのでしょうね。
それでも外こもりは幸せ
私は外こもりを否定する立場ではありません。
現在私自身が外こもり真っ最中ですし、楽しい日々を過ごしています。
私が否定したいのは「10万円あればリッチ」という点です。
正直、月10万円で過ごすのであれば「誰もが羨む日々」とはいきません。
ですがお金のかからない趣味を持ち、異性との遊びもほどほどにしていれば十分に生活は可能です。
何に「楽しさ」「幸せ」を感じるかによりますが、私自身は毎日仕事に追われていた日々よりもゆったりとした時間が流れている外こもり生活のほうが幸せです。
最後に
最近ネットで「月10万円あれば海外でリッチに外こもりができる」という無茶苦茶なツイートをよく見かけるようになったので反論記事を書かせていただきました。
外こもりは誰にでもおすすめできるものではありません。
月10万円あれば豪邸に住んでメイドさんを雇いながら若い子たちと豪遊できるわけではありません。
ですが、一つの生き方として選択肢に入るのではないかと思っています。
もしあなたが将来を思い描けないようなスレスレの生活をしているのであれば、一度外こもりを体験してみるのも悪くはないと思います。
特にフリーターや派遣社員であれば一時的に無職の時期があってもリカバリーしやすいでしょう。
家賃の更新月に全てを処分して海外で暮らしてみるのも面白いかもしれませんよ。