NHKドラマ「みかづき」で塾のカリスマ
経営者の千明から長女・蕗子(ふきこ)へと
宛てたある手紙。
千明はこの手紙で蕗子の人生が変わって
しまったことを深く後悔しています。
その手紙の内容とは?
原作で公開されたものを基に紹介
しますのでご覧下さい。
目次
何の手紙?
千明による、娘の蕗子がある人物と
結婚したいと言い出した際のそれに
反対する内容の手紙です。
前日に蕗子と大喧嘩をしており、
感情的に爆発してしまった後悔のもと
手紙という形で本心を伝えようとした
ものでした。
手紙の内容1・喧嘩の原因
蕗子が千葉進塾の講師としてバイトに
来ていた泉という人物と交際をしており、
さらに泉が大学卒業後、文部省に入省して
いたこと、さらにその泉から蕗子が結婚を
申し込まれたことを一度に知らされ、
半ばパニックになってしまいます。
まずは手紙冒頭では自分がなぜヒステリックに
怒ったのかを説明しています。
※後悔しているとは書いてあるものの
手紙の中で謝罪はしていません。
ちなみに、千明は文部省及び公立学校を
憎んでいます。
戦中・戦後で学校教師は言っていることが
正反対になっており、千明はその信念の
なさを嫌悪していたのです。
そしてその教育がくるくると手の平を
返す原因である文部省を「敵」とみなして
いました。
そのため、自分の経営していた塾から
文部省の役人になったことがまず許せず、
そんな人間と結婚しようとしたことも
また許せなかったのです。
手紙の内容2・千明のエリート嫌いの理由
千明は大学生の頃、すでに文部省や
公立学校を憎んでいました。
そのことを知った大学のゼミの教授が
元教え子の文部省の若手と引き合わせ
ます。
その文部省の若手は千明の思うような
「教育の敵」ではありませんでした。
そのため反感は関心に、そして好意へと
転換していったのです。
ですが、その文部省の若手はやはり
千明とは向いている方向が違いました。
あくまで体制側、上の立場でしかモノを
みていなかったのです。
最低限の義務教育を受けた賢明な労働者
決定的となったのは、その文部省の若手の
「最低限の義務教育を受けた賢明な労働者も
必要だ」という発言でした。
つまり極一部のエリートとそのエリートに
使われる庶民という二分化によって日本の
国際競争力が高まると考えていたのです。
これは千明には納得できないものでした。
蕗子の出生
その文部省の若手への信頼も愛情も
薄くなっていた頃、妊娠が発覚します。
千明は妊娠を告げる前に、そもそも
結婚の意志があるかどうかをそれとなく
探ります。
しかし相手は即座に結婚を否定します。
千明に父親がいないことや母親の過去の
仕事などを挙げ、結婚しても苦労すると
言い出します。
当時千明はまだ大学生でしたが、千明の
母・頼子に妊娠を打ち明けたところ
女手一つで子どもを育てるのは修羅の道よ。
貴方も私と同じ苦労をするのかと思うと
胸が張り裂けそうだわ。
それでも、私は貴方のここにいる孫に
会いたい。
そう言って千明の全面的パックアップを
しています。
そうして産まれたのが蕗子です。
手紙の内容3・泉家が大島家の娘を受け入れるか
千明はこの「蕗子の出生」の秘密を打ち明け、
文部省に進んだエリートの家庭が文部省を
毛嫌いする塾の経営者の子どもを受け入れるか
不安だと言います。
もちろん全員が同じとは限りませんが、
エリートは似たような思想になることが
多く、家柄や血筋に拘泥するものだと
心配しています。
蕗子のその後
蕗子はこの手紙を受け取った半年後、
泉との関係を清算しています。
当時まだ若かったことを考えると、
手紙から半年も悩んだというのは相当な
苦悩があったことでしょう。
手紙だけが原因ではなく、様々な要因も
絡んでいたはずです。
事実、何年も後にこの手紙について千明が
謝罪しようとした際にも、蕗子は「これが
原因じゃない。自分の意思と祖母の遺言に
従っただけだ」と言っています。
おばあちゃんの遺言
蕗子の祖母・頼子は亡くなる前、
蕗子は人に気をつかいすぎるから、
結婚相手もそうだと、窮屈な家庭になる。
一緒になるなら、ほどよく鈍感でおおらかな
男の人を選びなさい。
と助言しています。
この助言に従った蕗子の相手は泉ではなく
同じく千葉進塾で講師をしていた上田純という
男性です。
最後に
NHKドラマ「みかづき」の蕗子の人生を
変えるきっかけとなった千秋の手紙を
かいつまんで紹介しました。
原作小説ではかなりのページに渡る
内容となっています。
千明はこの手紙を書いたことを長いこと
後悔していたようです。
ですが蕗子自身はその選択に後悔は
していません。
蕗子は周囲に気をつかいすぎる子供
でしたが、それでも常に線引きがされて
おり、自分の意思で人生の選択をして
います。
蕗子は公立の教師になった際にも
千明と相当な大喧嘩をしています。
意外に頑固なところがあるようですね。