こんにちは。
猫の下僕です。
バイクに乗っていると、野良猫(猫の下僕業界では外様猫と呼びます)は危険なトラップですよね。
特に夜など、バイクのライトに照らされた猫は、体が硬直し、逃げられなくなってしまうようです。
スピードを出しすぎず、人以外の飛び出しにも注意しながら安全運転を心がけたいですね。
125ccまでのバイク、つまり原付二種が普通免許で乗れるかもしれない、という噂がありますね。
経済産業省が検討をはじめているそうです。
50ccと125ccは大差がないから緩和しても大丈夫。
世界的に見たら50ccなんて免許すら不要。
本当にそうでしょうか。
本当に緩和していいのでしょうか。
乗れるようになるとして、いつから規制緩和されるのでしょうか。
調べてみたところ、どうやら「普通免許だけで原付二種が乗れるようになる」というのはデマというか、拡大解釈の可能性が高そうです。
目次
いつから?
2016年9月、経済産業省自動車課の、川野大志課長がコメントしたものが大きく話題となりました。
神戸市で開かれたBIKE LOVE FORUMで、
そう簡単ではないのかもしれないが、排気量125ccの免許取得を今までより簡単にするというような取り組みにチャレンジしてみたい。
と発言しています。
この言葉が独り歩きしすぎて、すぐにでも原付二種の規制緩和が始まるように報道されていますが、実際には当分先になる見込みです。
経済産業省の公式コメントとして、
免許取得に必要な講習をなくしたり、その質を落とすようなことはありません。
安全を重視し、確保したうえで(免許を)取りやすくすることを検討しています。
としており、この内容通りであれば、普通免許に付いてくる、今の50ccの原付とまったく同じというわけではなさそうです。
規制緩和を求める業界
全国オートバイ協同組合連合会や日本自動車工業会といった二輪業界は、バイク免許の規制緩和について2010年頃から要望を出し続けていました。
具体的には、
自動車教習所の講習時間の短縮や実技の上限時間の緩和などの、免許を取得するのにかかる負担を軽減して、もっと簡単に免許を取得できるようにしてほしい。
といった要望のようです。
原付二種・125ccバイク免許取得にかかる費用
原付一種、つまり50ccバイクは、運転免許センターで筆記試験を受けるだけで免許が取得できます。
その後、簡単な実技講習がありますが、免許取得には関係なく、「乗り方を教える」という程度です。
対して、原付二種である125cc以下のバイクは、自動車教習所での技能講習と学科講習が必要です。
難関、一発試験
一発試験と呼ばれる、技能講習を受けずに試験場で技能判定をしてもらう試験もありますが、なかなか難しく、原付スクーターにしか乗ったことのない人にとっては現実的ではありません。
それでも受けたい方のために、参考値として費用を記載します。
手数料 6,550円(試験手数料 2,950円、交付手数料 2,050円、試験車使用料1,550円)
交付手数料は受かったときだけのようなので、「4,500円×受けた回数 + 受かった時の交付手数料2,050円」ということになります。
一発試験の魅力は、なんといっても費用が安いことです。
運転技術や、交通法規に自信がある方は、挑戦してみるのもいいかもしれません。
ただ、「原付で事故を起こしたことがない」=「運転がうまい」ではないことに注意してください。
現実的にはありえないレベルでの左右確認などが必須です。
安定の教習所
ということで、一発試験は厳しいので、原付二種を取得するためには教習所へ通うことになります。
所持免許によってかかる時間・費用が変わります。
MT
所持免許 | 学科 | 技能 | 費用 |
普通自動車以上 | 1時限 | 10時限 | 7万円程度 |
なし または 原付のみ | 26時限 | 12時限 | 14万円程度 |
AT限定
所持免許 | 学科 | 技能 | 費用 |
普通自動車以上 | 1時限 | 8時限 | 7万円程度 |
なし または 原付のみ | 26時限 | 9時限 | 14万円程度 |
教習所によって違いますが、MT(マニュアル)よりはAT(オートマチック)のほうが若干安い傾向があります。
とはいえ、その差は1,000円から3,000円程度でした。
せっかくならMTを取って、乗れる幅を広げておいたほうがいいでしょう。
普通免許を持っていれば、10時限で取得できます。
ATならなんと8時間です。
教習所やタイミングによりますが、うまく講習時間を設定すれば1週間以内に教習所での講習は全て終わらせることができます。
なお、いきなり原付二種、または原付一種(50cc)からのバージョンアップでは、学科講習も必要になるために時間も費用をかかります。
普通免許ありと比べて倍の費用と、3倍~4倍の時間がかかります。
ただ、「じゃあ普通免許取ってからのほうがいいや」ということかというと、若干違います。
原付二種を持っていると、普通免許取得の際の学科試験がほとんど免除になります。
「高速道路の運転」「セット教習」という2時限のみを受ければ、あとは技能講習だけとなります。
当然、運転免許センターでの学科試験もありません。
費用に関しても、普通自動車を取得する際に学科講習分が安くなります。
そのため、将来普通免許を取るのが確実なのであれば、原付二種で学科講習を受けても、大きな損にはなりません。
現状、どちらを先に取るにしても一度は学科試験がある
普通免許と原付二種、そして400ccまでの中型、
さらに全てのバイクに乗れる限定解除は、どの
免許を取るにしても一度は学科試験をパスしな
くてはなりません。
逆に、どの免許でも一度学科試験に合格して
いれば、他の免許を何年後に取っても学科は
試験どころか講習もなしです。
※一部、取得しようとする車種特有の技術に
関する講習は免除になりません。
決して難しい試験ではありませんが、
ひっかけ問題があったりするので
一度は問題集などに目を通しておくと
いいでしょう。
こちらがオススメです。
「普通免許で原付二種」はデマ?
少なくとも、経済産業省は公式に「普通免許の原付で乗れるように検討する」とコメントしたことはありません。
経済産業省の公式コメント通り、「必要な講習を削ることはせず、その質も落とさない」のであれば、普通免許だけで乗れるという意味にはなりません。
原付二種の規制緩和について言及したのは、前述のBIKE LOVE FORUMでの川野大志課長のコメントが初です。
「検討をはじめた」という表現も、かなりの拡大解釈で、「そういう話がちょっと出ただけ」というのが実情です。
今出ている情報だけでは、普通免許だけで乗れるはずがありません。
それでも普通免許で乗れるようになるのだとすれば
二輪バイクに関する講習を減らさず、なおかつ普通免許で乗れるようにするのであれば、普通免許取得時に原付二種の技能講習を行う必要があります。
これは、将来原付二種を絶対乗らない人にとっては余計な講習ですね。
講習が増えれば、費用も上がりますし、取得にかかる時間も増えるでしょう。
原付二種にとっては、緩和となるかもしれませんが、普通免許取得者にとっては、緩和どころではありません。
普通免許のみを求めている人と、車と原付二種を同時に乗りたい人の数を考えれば、この方法が採用される確率はかなり低いのではないでしょうか。
規制緩和で何が変わる?
まだ規制緩和内容が確定したわけではないので、これから大きく変わるかもしれません。
必要な講習を減らすことは考えておらず、その質も落とさないようにするようですが、将来この宣言を撤廃する方向に動くことも、ゼロではないでしょう。
噂通り、普通免許取得だけで、原付二種が乗れるのであれば、「原付二種免許取得」という一点だけを見た場合にはすばらしい緩和となるでしょう。
まともな運転技術を持たない人が増え、交通事故が多発する可能性が高そうですね。
現時点では、「免許取得を今までより簡単にする」という点だけが発表されています。
現在、10時限程度の技能講習しかありません。
不要な講習などないのではないかと思います。
学科講習についても、現状より減らすとなると、逆に普通自動車免許との齟齬が発生するため、原付二種を持っていても普通自動車免許取得の際に再度学科講習が必要となるなど、より不便となってしまうでしょう。
となると、今より簡単にするにはどうしたらいいのでしょうか。
質をそのままに、費用を下げるというのであれば、新規取得者にはうれしいですね。
ただ、そうなると教習所は黙っていられないでしょう。
今までと同じ講習をして、得られる額が下がる、というのであれば、質が落ちるのは確実です。
となれば、その差額を税金で補填するという考えに流れるのかもしれませんね。
50ccを超えるバイクを乗らない人の払った税金の一部が、教習所に補填されるとしたら。
それはそれで一般市民が黙っていられないでしょう。
八方塞ですね。
そもそもバイク業界は斜陽なのか
2010年頃から、バイク業界は警察庁などに要望を出し続けていたそうですが、本当バイクは売れていないのでしょうか。
若者のバイク離れ
これはよく言われていますね。
原付ならまだしも、自動二輪となれば、免許取得からバイク本体の購入、任意保険の加入(125cc以下なら普通車のファミリーバイク特約で安価)、さらには車検費用(400cc以上250ccより大きい排気量)と、非常にお金がかかります。
※コメント欄より、酒井様からご指摘いただきました。
400cc以上でなく、250ccより大きい排気量でした。
(250ccまではOK、251ccから必要)
訂正させていただきます。
原付スクーターは「日常の足」としての側面がありますが、250cc以上のバイクは趣味の側面が強いです。
経済的に困窮している家庭が増えたため、若者がバイクを乗れる機会が減ったというのは事実でしょう。
暴走族の減少・珍走団はスクーターで集団走行
暴走族と言えば、違法改造バイクでの集団暴走行為ですよね。
しかし、近年暴走族が減少しており、夜中に違法マフラーで爆音を響かせて走る光景もだいぶ少なくなりました。
暴走族になるのは、だいたい中学生から高校生くらいまででしょう。
アルバイトをしてまで暴走族をする、勤勉な?ヤンキーは少ないため、都内などでは絶滅危惧種のような状態ですね。
一部では珍走団として、50ccのスクーターで迷惑走行を繰り返している少年たちがいます。
50ccの原付であれば、免許取得に1万円もかかりませんし、スクーターも自動二輪と比べたら本体代も維持費も格安です。
彼らは、原付二種が今よりさらに安価で取得できるようになったら、そちらに移行するでしょう。
東南アジアなどの新興国では好調
50ccから125cc程度までの、スクーターなどの小型バイクは、東南アジアでは非常に好調な売れ行きを示しています。
特にタイでは、スクーターのことを「HONDA」と呼ぶほど、日本製バイクが大量に走っています。
ちなみに、ヤマハのスクーターは「SUZUKIのHONDA」と呼ばれます。
ちょっと混乱しますね。
なお、東南アジアでのシェアはホンダが世界一位、そして二番手はYAMAHAだそうです。
SUZUKIやKAWASAKIも高いシェア率を誇っており、日本の4社で全体の4割近いシェアを獲得しているとのことでした。
実際の出荷台数
日本自動車工業会による統計を見てみましょう。
国内末端販売店向け出荷台数は以下のようになります。
日本自動車工業会
http://www.jama.or.jp/industry/two_wheeled/two_wheeled_2t1.html
2000年以前の売り上げがすごいですね。
2005年以降、毎年算出されだしてから、前年比割れしなかったのはなんと2回だけです。
ひどいときは20%以上の下落率を見せており、業界が悲鳴を上げている理由がわかりますね。
バイク業界が斜陽であるのは事実
特に国内での落ち込みが激しいことがわかりました。
ただ、その解決方法が「免許の緩和」というのは正しいのでしょうか。
たしかに、裾野を広げれば利用者が増えるという理屈はわかります。
ただ、バイクは命の危険が伴う乗り物であり、誰でもいいから買って欲しいという流れは間違っています。
自動二輪免許取得者よりも普通自動車、または原付のみの免許取得者のほうが、原付事故の割合が多いという統計もあるそうです。
二輪と四輪は違う、ということを甘く考えず、正しい技術で運転できる人が増えて欲しいですね。
まとめ
普通免許で125ccが乗れる、という情報は、苦しいバイク業界の方たちの先走った拡大解釈のようです。
実際には、「講習等を減らさず、今の質を維持したままで、簡単に取得できる方法を模索する」ということでした。
バイク業界は苦しい状況ではありますが、だからといって拙い技術の原付乗りが増えてしまえば、一時的な売り上げは上がるのかもしれませんが、将来長い目で見たときに、「やはり原付(~125cc)は危険な乗り物」と言われ、敬遠されてしまうかもしれません。
それでは、売り上げ増加は叶わないのではないでしょうか。
必要なのは、「誰でも乗れるようにすること」ではなく、「誰もが乗りたくなるようにすること」です。
私は自動二輪免許を持っています。
しかし、その私ですら、バイク業界が自動二輪をアピールしているようには見えません。
もっと手広く、バイクに興味のない人にもわかるような啓蒙活動をしていく必要があるのではないでしょうか。
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