2020年に放送予定だった半沢直樹の2ndシーズン。
その前半部分は池井戸潤の半沢直樹シリーズ3作目「ロスジェネの逆襲」です。
この作品ではIT企業の買収騒動という現実でも聞いたことのあるストーリーが展開されます。
その中で再三にわたり「IT業界はドッグイヤーの進歩」という単語が登場します。
ですがIT業界に疎い人にとっては「ドッグイヤー」は別の意味に聞こえますよね。
ドッグイヤー
一般的に、ドッグイヤーと言われて思い浮かべるのは本の端を折ることではないでしょうか。
付箋代わりに使う目印ですよね。
あの折れたページの形が犬の耳に似ていることでドッグイヤーと呼ばれています。
一方、IT業界でドッグイヤーというのは、「成長の速い犬の1年」になぞらえた単語です。
人間の7年が犬の1年に相当することから名づけられたようですね。
気付いた方も多いでしょう。
日本人にとってはどちらも「ドッグイヤー」ですが、英語だと前者がdog ear(犬の耳)後者はdog year(犬の1年)という別の単語なんです。
本当に使っているの?
私はIT業界にいた経験がありますが、耳にしたことはありません。
「日進月歩」をもじって「時進日歩」「秒進時歩」などという造語を社長が会報で語っていたのは覚えていますが、それにしても他社で通じるものではなかったように思います。
なお、ドッグイヤーは1990年代に使われていた言葉だそうです。
1990年代といえば今からもう30年前です。
昭和から平成に変わったばかりの頃ということになりますね。
IT業界でなくても昔の話と感じる時代です。
日進月歩のIT業界にとってはそれこそ紀元前に相当するほどはるか過去の話です。
舞台の年代はいつ?
原作では2004年です。
ちなみにこの年は現実世界でホリエモンが球団を買収しようとした年です。
原作のモデルは発表されていませんが、IT企業で買収騒動を起こしたベンチャー企業というとホリエモンとライブドアを思い浮かべる人は少なくないでしょう。
最後に
半沢直樹・ロスジェネの逆襲に登場するドッグイヤーという言葉は本の付箋代わりのアレではなく、IT業界の進歩速度を表した単語です。
日本語では同じ言葉に聞こえますが、前者は犬の耳「dog ear」で後者が犬の1年「dog year」なのでそもそもの綴りが違います。
実際には今のIT業界の現場では使われていないような気がしますが、当時はそれがナウでヤングな流行語だったのかもしれませんね。
IT業界はプログラミングで英語をそのまま使うことが多いからなのか、横文字を多用したがる傾向があります。
本人たちは専門家としてかっこよく使っているつもりのようですが、私にはあの偉大なコメディアン・ルー大柴のようにしか見えませんでした。
「トゥデイのモーニングミーティングのアジェンダはAさんが酔っぱらって資料を電車に忘れた件です」と言われた際はギャグかと思いましたが誰も笑っていませんでした。
怖かったです。