2020年版「ハケンの品格」第5話では東海林課長(演:大泉洋)が北海道のお菓子「黒豆ビスコッティ」を全国で売り出そうとして大炎上するエピソードでした。
現実でもよくみかける問題が題材にされていますね。
個人的には結局炎上の原因は解決していないように感じましたが、なぜか注文が殺到して大団円となっています。
目次
結局、痩せない
黒豆ビスコッティの炎上は、痩せる栄養素の数値が改ざんされていたことによる「虚偽の広告」が原因でした。
この数値は外部の教授に調査を依頼していたものの、東海林課長の部下が昔ながらの接待を繰り返したことで忖度して改ざんをしていました。
結論として、黒豆ビスコッティを食べても痩せないことがわかっています。
つまり、当初の売り文句である「痩せる」というワードは間違っており、それを信じて買った消費者を騙したことには変わりがないわけです。
というか、そもそも「食べれば食べるほど痩せる」という食材はこの世に存在しません。
ゼロカロリー食品であれば、辛うじて太るのを抑えられますが、それでも痩せるわけではありません。
あくまでカロリーの高い食品を置き換えることで摂取カロリーを抑えられるだけです。
だから「間食でたくさん食べたら太りました」というのは当然です。
美味しいからいいでしょ?
謝罪会見で東海林課長は「黒豆ビスコッティは本当にいい商品なんです」と美味しさをアピールしました。
いい商品であっても、問題点は「痩せると言ったこと」であり、それ自体は間違っていたわけです。
しかも、会見後半で大前春子が用意したのはモニターとのライブ映像なのですが、これがまた問題を棚上げした内容の数々でした。
美味しいから食べちゃう。それだけ
モニターとして最初に登場した人たちが
私たち成分なんて気にしてないからね
美味しいから食べちゃう
それだけ
と言っています。
これは何の解決にもなっていません。
繰り返しますが「美味しい、なのに痩せる」が当初のアピールだったはずです。
東海林課長は「痩せる成分もあるが美味しさで勝負したい」と社長にアピールしましたが、結局社長(およびその側近)の方針に従って「痩せる」をアピールしています。
なのでS&Fとしての主張は「痩せる」です。
にも関わらず、謝罪会見でモニターにアピールさせたのは「成分なんて気にしない」です。
さらに言うならば、このモニターは製造しているお菓子会社の関係者です。
つまりヤラセです。
本人たちにヤラセである自覚はないかもしれませんが、無作為に抽出したのではなく知り合いに頼んでいる時点で信憑性は低いです。
謝罪会見中に記者から「結局PRですか」と言っていますが、まさにその通りですよね。
現実でも問題の棚上げは多発している
黒豆ビスコッティは「痩せる」という主張が炎上し、その謝罪会見で「太るけど美味しい」というアピールをして「成功」しました。
現実でもこのように問題を棚上げしてわけのわからない主張をする人は多いです。
炊飯器は3合以上で炊くとおいしい
一人暮らしを始める際に親からこのアドバイスを受けた人は多いのではないでしょうか。
確かに、家族のように「一度に消費する」ならそうでしょう。
ですが一人暮らしでは一度に3合食べる人はいませんね。
残ったご飯は冷凍することになります。
果たして毎回炊き立てのご飯を食べるのと、一度目は美味しくてもその後何度か冷凍ご飯を食べるのではどちらが平均して「美味しい」と言えるのでしょうね。
こう反論をすると、決まって「でも電気代の節約になるし」と返ってきます。
「美味しい」と主張していたのに、その問題を棚上げして電気代に話をすり替えています。
電気代の節約にはなりますが、毎回炊き立てのご飯を食べるより美味しくないわけです。
牛丼は痩せる問題
私はダイエットのために食品のカロリーをネットで調べることが多いのですが、いい加減な主張をする記事がここ数年増えているように感じます。
たとえば「牛丼は痩せる」という主張では「たまねぎには痩せる効果がある」という根拠が紹介されていました。
ですが脂身の多い牛肉、そしてなによりも炭水化物であるごはんはダイエットの天敵です。
たまねぎによるダイエット効果があっても脂身だらけの牛肉+炭水化物という組み合わせを考えれば太ります。
中には「一口だけなら低カロリー!だから痩せる!!」などと意味不明なことを語っているサイトもありました。
着るだけで痩せるTシャツ問題
着るだけで筋肉を刺激して「痩せる」「筋トレ効果がある」という主張をして消費者庁から「根拠なし」と指摘されたシャツを覚えているでしょうか。
実は今でも売られていますが、一部の商品ではなんと「肌にぴったり密着するから暖かい」という無茶苦茶な主張をしています。
暖かいかどうかは痩せるかどうかとはほとんど無関係ですよね。
問題の棚上げ行動は問題視した消費者が何を求めているかを理解していないから起こるのでは?
ドラマでの黒豆ビスコッティは「痩せる」を期待した人が怒っていたはずです。
ですが、謝罪側は(痩せるのは誤りだと認めつつも)「美味しい」と主張しています。
怒っていた視聴者が何を求めていたのか理解できていないように感じますね。
ドラマでは最終的に注文が殺到していますが、現実で「炎上商法」が大成功するのは珍しいのではないでしょうか。
どちらにせよ、炎上時点での消費者とその後の消費者は別グループであると考えるのが妥当でしょう。
「結局売れたからいい」のであれば問題ないのかもしれませんが、火種が残る解決に感じます。
最後に
ということで、「ハケンの品格2020」第5話の黒豆ビスコッティの炎上と解決のストーリーがおかしいなと感じました。
現実でもよくありますが、問題を棚上げして別の主張を繰り返す例が多いです。
個人的には「炊飯器は3合が美味しい」問題が一番モヤっとします。
この主張を信じている人は多いようで、私自身の母だけでなく「自称自炊好き」の友人知人からも同じ主張をされることが多いです。
私は「食べる分だけ炊く」のが美味しいと思います。
ちなみに、日本の家電メーカーは非常に優れているため一人暮らし用の炊飯器も販売されており、0.5合でも美味しく炊けるものも売られています。
こちらの商品はそのままお弁当箱になるという炊飯器です。