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米NY州司法試験2月の合格率が低い本当の理由 難易度は変わらないのになぜ?

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日本国民に注目されているある男性が不合格となったことで話題になっているニューヨーク州の司法試験。

 

試験は年2回あり、この男性も来年の2月に再度挑戦すると報道されています。

 

一部のメディアでは、例年2月の方が合格率が低い傾向があることから「難しい」としています。

 

実際に試験の内容が難しいかどうかは別として、「合格率が低い=難しい」と主張するのはちょっと数字のマジックにハマっているように思えます。

 

 

 

なぜ2月の方が合格率が低い?

 

NY州の司法試験は年2回行われます。

 

そして、7月の試験ではロースクールを卒業したばかりの優秀な人たちが合格していきます。

 

当然ながら、合格した人は翌年の2月には再受験しません。

 

つまり、7月の試験と2月の試験では参加者が違うんです。

 

そしてこの試験は「優秀な順に〇人が合格」のようなものではなく「一定の基準点をクリアした人全員が合格」というタイプです。

 

だから優秀な人の大半は7月の試験で抜け、そうではない人が心折れるまで繰り返し受験するという形になります。

 

だから合格率が低くなる傾向があるんです。

 

 

浪人生のほうが成績は落ちる

 

大学受験の場合は予備校に通って全力で勉強することもできるので(友達と遊び惚けなければ)現役と浪人で大きな差はつきませんが、司法試験の場合はほとんどの人が働きながら再受験を待ちます。

 

当然、働いている間は勉強できないのでロースクール時代より勉強量が減ります。

 

実際に法律事務所等の司法試験と関連する企業で働くので知識が全て抜け落ちていくわけではありませんが、やはり現場の知識と試験用の知識にはやや差があります。

 

もし受験生が当落線上にいるのであれば、その「現場と試験の差」が合否に影響を与えることになります。

 

サポートしてくれる家族や生活費をカバーしてくれるパートナーがいるのならロースクール時代と同じ勉強量を確保できるるので、そういう人であれば合格の可能性は高まるでしょう。

 

 

合格率に関する2つの勘違い

 

合格率を勘違いしている人が多いですが、合格率は参加者のうち何%が合格したかを示す比率であり、一人の受験者(仮にKさんと呼びます)が何%の確率で合格できるかの指標ではありません。

 

合格率が80%超だとしても、今回のKさんの合格率が80%とは限りませんし、今回落ちたから次回は確実に受かるというものでもありません。

 

 

分かりやすく言えば、たとえば「合格率80%の司法試験」であっても法律を一切知らないサラリーマンはいくら受験しても合格はできません。

 

「80%」ですがおそらく100回受験しても受からないでしょう。

 

 

そして、仮に「一人の受験生が合格する確率が80%」だったとしてもそれは10回受ければ確実に8回合格できるという意味ではありません。

 

「サイコロの1の目は6回振れば確実に1度だけ出る」が間違いであることと同義です。

 

1回も出ないときがあれば2回以上出る時もあります。

 

これは「1回目の試験と2回目の試験に関連性がない」というのが理由です。

 

つまり2回目の試験の合否に1回目の結果は考慮されないということです。

 

 

半年で成績は大きく上がらない

 

司法試験だけでなく、多くの試験が年複数回実施されています。

 

中には「どうしても受かりたいから」と毎回受験する人がいます。

 

もしその人がボーダーライン上にいるのであれば、何度も受ければ合格することもあるでしょう。

 

ただ、ボーダーを大きく下回っているのだとすれば、半年程度勉強してどうにかなるものではないと思います。

 

基本的に、人の成長は「初心者の頃ほど早く、期間が長くなるほど鈍化する」とされています。

 

それは新しく身に着けるべき知識・技術が少なくなってしまうからです。

 

ロースクールで3年かけて覚えた知識がある状態であれば半年程度では著しい成長は見込めないと考えられます。

 

※もちろん、ロースクール時代に遊び歩いていたのなら半年でも効果はありますが

 

 

最後に

 

ということで、ある男性のNY州司法試験関連の話題で「合格率」を勘違いしている人が多いのでつっこませてもらいました。

 

別に2月の試験が極端に難易度が高くなっているわけではありません。

 

だから「2月は合格率が低いから難しい。きっと彼は受からない」という主張は間違っています。

 

「7月の試験でボーダーにも届いていないのだから、今後働きながら勉強しても同じ結果になるかもしれない」という予測であれば間違いではないでしょう。

 

ただ試験の採点結果は公表されていないので、件の男性が「ボーダーギリギリ」「マークシートの書き間違いなどのケアレスミス」「そもそもボーダーを遥かに下回っている」のどれなのかはわかりません。

 

だから(私を含め)外野が「次は受かる」「次は受からない」と議論できるものではありません。

 

解決していないある問題を抱えているため色眼鏡で見たくなってしまう気持ちはわからなくはありませんが、「それはそれ、これはこれ」です。

 

日本人は「何か問題がある人には何を言ってもいい」と考えてしまいがちですが、そうではありません。

 

問題に関して指摘することと、それとは無関係な事を口汚く罵ることは別問題です。

 

むしろ日本国民的には税金が使われる可能性が少しでも減るように、次でしっかり合格して年収2000万円のニューヨーカーになってくれることを祈った方がいい気がします。

 

個人的には奥さんになられた方のファン(ファンという表現は不敬かもしれませんね)なので、夫婦ともども幸せに暮らしていただきたいと切に願っています。

 

本当です。

 

 

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