乃木坂46のある卒業生が、別のアイドルグループの卒業生をゲストに呼んだ際に「アイドル時代のキツかった仕事」で盛り上がったことが一部で話題になりました。
炎上ほどの事態ではありませんが、「アイドル時代の切り売りは残念」「あの楽しそうな笑顔は嘘だったのか」などネガティブな感想を持つ人が多いようです。
中には「卒業してもファンだったけど冷めた」と言う元ファン(?)も。
でも、アイドルってそういうものなんじゃないですかね。
元アイドルが過去の嫌なことを語るのは求められているから
昔からいわゆる「暴露話」には需要があり、ワイドショーや週刊誌の目玉として扱われてきました。
キラキラしたいつも笑顔のアイドルの裏話などはその最たるものです。
ワイドショーや週刊誌では(自称)関係者が「あの子は〇〇と言っていた」という真偽不明なネタですら盛り上がっていたりします。
元アイドル本人が語るのは、周囲がそれを求めるからという場合がほとんどのはずです。
この「周囲」というのは視聴者とは限りません。
その番組なり雑誌なりの「元アイドルに仕事を与えた側」も含みます。
特に乃木坂を含むグループで活動していたメンバーは、たとえグループ内でトップの人気があったとしても卒業してしまえば看板がなくなり賞味期限が迫ってくるものです。
元アイドルを呼んだ側としても、話題にならなくなる前に使い倒したいわけです。
アイドルが嫌がっていないという幻想
アイドルが本気でいつも笑顔でいると思っている人はほとんどいないはずです。
今の時代、アイドルが虚構の存在であることは当たり前に知られている事実です。
にもかかわらず、極一部の過激なファンはアイドルを神聖視するあまり嫌がっていないと感じてしまうようですね。
乃木坂46で言えば、NOGIBINGO時代は過酷な企画が多かったです。
メンバーの中には番組内で番組批判をした上、その行動が黒歴史扱いになったこともあります。
今も継続して放送されている「乃木坂工事中」でも、不定期で「催眠術」という名目でヘビやクモなどに笑顔で触る仕事がやってきます。
「ヒット祈願」に行きたがらないメンバーも多いですよね。
また、悪名高き「握手会」では生理的に受け付けない男性がやってきてもパスすることはできません。
実際に事件が起きていることもあり、風貌が怪しい人や言動がおかしい人との悪手はツラい仕事なのは確実です。
笑顔をふりまかない「塩対応」キャラが定着しているメンバーもいますが、あくまで「塩対応キャラ」なわけで「嫌悪感丸出し」では成立しません。
ファンを不快にさせない「塩対応」はバランスが難しい仕事です。
アイドルは天使で居続けなければならないのか
卒業後に「あの時は嫌だった」と語ることを嫌がるファンの声は大きく、「だったらアイドルになんかならなきゃいいのに」「それが仕事だろ」など辛辣なコメントを呟く人もいます。
アイドルは卒業してもみんなの天使でいなければならないのでしょうか。
愚痴をこぼすことは許されないのでしょうか。
そういう主張の人たちは自分の仕事に一切の不満がないのでしょうか。
だって「その仕事に自分から望んでなった」んですよね?
スカウト(ヘッドハンティング)なら別ですが、自分からその仕事を選んでおいて居酒屋で愚痴るのは元アイドルが過去を愚痴るのとどう違うのでしょうか。
最後に
乃木坂の卒業メンバーがアイドル時代の愚痴を言ったことでファン(というかアンチ?)が盛り上がっています。
ですがアイドル時代に無茶なことや恥ずかしいことはたくさんやらされており、それを嫌がっていないメンバーは少ないはずです。
アイドルは人間が演じています。
しかも10代20代の若い女性が演じています。
「無垢な天使」を演じ切るのは難しいです。
辛いことを辛いと言うくらい許容できるファンでいたいですね。